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ひとインタビュー必ず一個に全力をかけている 執念でなく夢持ち続けた結果 第十一回 新井満さん

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暇を楽しみ慌てず待つ

書店でこの人の著作が山積みだ。「千の風になって」「自由訳 イマジン」「自由訳 般若心経」「青春とは」などがベストセラーとなっている。シンガー・ソングライターとしてデビューして約35年。いくつもの肩書を持つアーティストは還暦を迎え、ますます活動の幅を広げている。
(文・神山典士/撮影・田中史彦)

冒頭の4冊の共通点がわかりますか?

――えっ、それはなんですか?

それはね、4冊とも新井のオリジナルではないということです。オリジナルは他にあって、新井はそれをただ再発見して、わかりやすい日本語に直して出版しただけだということなんです。

――確かに般若心経なんて、誰でも聞いたことはありますよね

そう1200年も前からあるんです。でもそれを自由訳として出版しようなんて誰も思わなかったでしょう。難解だなとは思っても、わかりやすい日本語に置き換えようとは思わなかった。

イマジンだって、原文はたったの26行ですよ。それを新井は260行の詩にしているんです。そんなサーカスみたいなことができるのかという人もいましたが、これを読んで感動してくれる人もいる。そういう誰もやらないような作業でも、世の中の人々の役に立つなら、新井はやってもいいかなと思ってしまうんですね。

――それにしても、新井さんの感動の持続力はすごいですね

と、言うと?

――例えば般若心経は13年前の母親の葬儀の時に、引き出しから般若心経の本が出てきたことがきっかけだったと聞きました。イマジンは長野五輪の開会式に使いたかった曲だった。千の風は、故郷の友人が亡くなった時に原詩に触れたのがきっかけだったとか

そう言われてみると、確かに熟成期間は長いですね。言い方を変えると、年齢を重ねるのも悪くないということかな。思い出がそれだけ多くなるんだから。やっぱり物語が生まれる背景には歳月の重なりがあるわけで、昨日今日では物語は生まれないということなんですね。そういう意味では、時間というものは大変な主人公ですね。

(写真)新井満さんプロフィール

1946年新潟市生まれ。電通の映像プロデューサーとして環境ビデオ制作の草分けとなる。故・森敦と出会い「組曲 月山」を発表。シンガー・ソングライターとしても活躍。77年「ワインカラーのときめき」が50万枚のヒットを記録。88年「尋ね人の時間」で第99回芥川賞受賞。98年長野冬季五輪で開会式のイメージ監督を務める。日本ペンクラブ常務理事として平和と環境問題を担当。作家、作詞・作曲家、歌手、写真家、陶芸家、画家など様々な肩書を持つ。

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