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音楽以外で、もうひと花

――56歳という年齢は意識されていますか?

もちろん。気力も体力もまだまだ十分にある今こそ、自分を変える最後のチャンスの年齢だと思っています。同時に、デッドエンドも感じています。だから、急いで全速力でやりたいことをやらなければと。実は、音楽活動をしばらく続けたら、その後に僕はもうひと花咲かせてやろうと思っているんです。音楽以外のことでね。

ただひたすら一つのことをやり抜く。そういう人生もすごいと思う。でも、僕はやはり何通りもの人生を経験したい。そして、人生の最後の最後になったときに、「ああ、面白かった」って反芻(はんすう)したい。

――まさに、大団円

高校受験に失敗したことも、18歳で単身ドイツへ向かった日のことも、昨日のことのように思い出せる。余生があるとしたら、すべての過去をそうやって、昨日のことのように思い返し、良かったなあとしみじみするような、そんな日々をすごしたい。

――常にアグレッシブ。その原動力は

好奇心と冒険心でしょうね。僕は案外ねちっこい性格で、興味あること、面白そうと思ったことは絶対に実現するまであきらめないところがある。それを実現した後「ああ、こんな素晴らしいことができた」と思い返すのも好き。気に入った曲は何度も演奏する。そういう粘着質な好奇心がパワーの源かもしれない。

今の不安なんて知れてる

――肝もすわっています

拾ってくれる神は必ずいるんです。これは、今までの経験の中で学んだこと。絶対に実現したいと真剣に願っていることを、そう簡単に神様は見捨てたりしないんです。ドイツに渡ったときの所持金は18万円。留学先も実は決まっていなくて、最初は観光ビザしか持っていなかった。その後、何度も危機にさらされた。それでも何とか乗り越えてきた。あのころの不安に比べれば、今の怖さ、不安なんてたかが知れている。どうにかなるさってけつをまくれるのは、若いときに「拾う神がいる」ことを、身を持って実感できたおかげでしょうね、きっと。

(写真)宮本文昭さん3つの質問
質問1
これまでの人生で最大の買い物(投資)は何ですか?

18歳のとき、単身で海外へ出たこと。お金も何の保障もなく、将来どうなるかもわからないのに、とにかく未知の世界へ自分を放り込んだ。そして、そこで何度も「さあ、どうする?」という真価が問われる局面を経験し、自分で乗り越えてきた。おかげで、肝がすわり、怖いものもなくなった。そういう意味で、非常にビッグな投資だったと思います。

質問2
こだわりがある、という生き方をしていると思う人を挙げてください

作家の村上春樹さん。移動時間によくエッセーを読ませていただいています。その雰囲気から、この方は飄々(ひょうひょう)としていながらも、実はものすごいこだわりがありそうだなと勝手に想像しています。

質問3
人生に影響を与えた本は?

五木寛之さんの「青年は荒野をめざす」。高校生のときに読みました。18歳のとき、船でユーラシア大陸へ渡り、シベリア鉄道経由でドイツへ向かったのも、たぶんこの小説の影響が大きいと思います。

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