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ひとインタビューリタイア通達に愕然とし決意 現状に甘んじるのは絶対に嫌 第二十一回 大橋歩さん

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私の好奇心、映し出す

大橋歩さんの雑誌「Arne(アルネ)」には、柳宗理さん、安西水丸さん、よしもとばななさん、村上春樹さんをはじめ実にさまざまな人が登場する。しかも、大橋さん自身の感覚、視点で切り取られた姿は生き生きと、そしてほのぼのしている。「平凡パンチ」でのデビューから「アルネ」の編集・発行へ。60歳を超えて見えてきたものは――。
(文・井上理江/写真・三浦健司)

――今秋、東京・銀座で、大橋歩イラストレーション展を開催されました

02年に創刊した「アルネ」を買ってくださる若い人たちがたくさん来てくださったのもうれしかったのですが、一番感激したのは「平凡パンチ」世代の人々が訪れてくれたこと。「平凡パンチ」の表紙のイラストをじっと見入っていた男性が私に気づいて、「(イラストを指して)これが僕の青春だったんだよ」と。隣の男性も「僕はみゆき族でね」なんて懐かしそうに話してくれて。今までで一番「平凡パンチ」の仕事をして良かったなあと思えた瞬間でした。

企画から編集まですべて一人で

――アルネの創刊は5年前ですね

60歳を過ぎたあたりから徐々にイラストの仕事が減ってきて、広告のプレゼンテーションに出しても落ちてばかり。私のようなフリーランスにも、こんなかたちでリタイアというものが通達されるのかと愕然(がくぜん)としたんです。それと、かつての仕事は「あなたの持っているものを自由に表現してください」という時代でした。ところが最近は「こんな感じで描いてください」と指定されることが多く、自分らしさを発揮できなくなってきた。なんかおもしろくなくなってきたなあ、という思いがありました。

――それで雑誌を

前からつくりたいと思っていたわけではないんです。無理して自分に合わない仕事をするより、自分のやりたいことをやろうと考え、思い立ったのが雑誌だった。たまたま好きな雑誌のスクラップがたまっていたので、それを書籍の束見本に切り張りしてみたことがあったんです。そうしたらものすごくかわいい冊子が完成した。知り合いの編集者に見せたらおもしろいと言ってくれたので、じゃあ自分で雑誌をつくってみるか、と。

――しかも企画から取材、撮影、編集まですべてひとりで

ちょうどそのころ、ある学習塾の保護者向けの会報誌が毎月届けられていて、それを見たときに、40ページくらいのボリュームなら自分ひとりで十分製作できるかなあと思ったんです。ひとりでつくることへの不安はなかったのですが、はたして続くかなあという心配はありました。雑誌だから、売れないと続かないわけですし。でも、やってみないことには始まらないし、わからないから。

(写真)大橋歩さんプロフィール

1940年三重県生まれ。多摩美術大学油絵科卒。64年「平凡パンチ」の創刊号から7年間表紙のイラストレーションを担当。80年から90年までファッションブランド、ピンクハウスのイラストレーションを描く。以後、広告、雑誌などで幅広く活躍。衣食住全般についてのエッセーも数多く執筆。2002年に季刊誌「arne」を創刊。企画・編集・出版までひとりで手がける。主な著書に「大橋歩コレクション9 大橋歩の生活術」「おしゃれする」「着物は楽しい」「私の季節」(以上マガジンハウス)、「平凡パンチ大橋歩表紙集」(イオグラフィック)、「日々が大切」(集英社)など。

お知らせ
「Arne(アルネ)」

季刊年4回(3月、6月、9月、12月)発行。定価525 円。52ページオールカラー。B5変型。入手方法は以下HPからの通信販売もしくは、一部の書店で。バックナンバーの購入もできます。

(株)イオグラフィック

http://www.iog.co.jp

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