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ひとインタビュー「もっと遠くへ」引退まで全力 プレッシャーに替わり責任感 第二十二回 原田雅彦さん

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快感に始まり、ただ一心

「笑顔、得意ですからねえ」。そう言い、明るく笑いながらカメラの前に立ってくれた。あるときは「まさかの失墜」、あるときは「奇跡の大逆転」。誰も予測できないドラマチックな展開だけでなく、その笑顔と泣き顔で日本中をわかせたスキージャンプの原田雅彦さんが、28年間の競技者生活にピリオドを打った。そしていま、目指す「K点超え」は金メダリストの育成だ。
(文・井上理江/写真・小山昭人)

小学3年生の初ジャンプが原点

――若さが要求されるジャンプ競技にあって、37歳まで現役で活躍されたのは原田さんが初めて

そうです。1994年のリレハンメルの後、25歳のときにもう引退かと言われていたのですが。思えば小学校3年生で初めて飛んだときからジャンプの面白さにすっかりはまり、のめりこんでしまった。そのときの快感が忘れられなくて。

――小学生のときの初ジャンプが原点

もともとスポーツ万能で野球、サッカー、スキーなど何でもできたのですが、今ひとつ刺激がなくて物足りなさを感じていたんです。そんな折、実家の裏側にあった小さなジャンプ台で何人かの人が飛んでいるのを見て、楽しそうだな、やってみようかなって。とはいえ、子どもだから最初はとにかく怖くてね。何が起こるか不安でなかなかスタートできなかった。ところが勇気をふりしぼったら7メートル飛べた。まあ、実は落ちただけなんですが、これがめちゃくちゃ気持ちよくてね。この7メートルの間に自分を駆り立てるものを感じてしまった。すぐにジャンプ少年団に入って、それからはもうひたすら「もっと遠くへ飛びたい」の一心で、気づいたら長い競技人生になっていたという感じです。

――ジャンプの魅力って何でしょう

スキージャンプは、なかなか一般には体験できないスポーツ。我々しか味わうことのできない刺激に満ちているところが好きですね。今でもよく「恐くないですか?」と聞かれるのですが、それもまた快感です。

――引退を決意したのは

飛ぶだけなら今でも飛べるんですよ。ただ、競技者である限りは結果を出さなければならない。ところが、ここ数年思うように結果を出せなくなっていた。距離が延びなくて葛藤(かっとう)がずっと続いていました。

――2006年のトリノオリンピックが引き金ですか

いや、それ以前から近々区切りをつけなければいけないと感じてはいました。若い選手たちがどんどん力を伸ばす姿を見ていて、そろそろ自分の現役人生は終わりかなと。トリノは代表選手に滑り込めたけれど、これが最後のオリンピックになるだろうなという予感はありました。とはいえ、引退するまで、最後の最後まではとにかく全力で頑張ろうと思い、挑戦し続けていました。

――コーチ業はいかがですか

まだ1年目で勉強中なので、どうかなあ。監督が技術指導をきっちりされていて、僕にはメンタル面での指導をしてほしいと言われるので、そちらを重点的にやっているのですが、なかなか難しい。自分の考えばかりを押しつけてもいけないし。ついこの間まで現役だった経験を生かした指導は心がけています。長いシーズンを浮き沈みの波がないように過ごすにはどうしたらいいか、試合前の一週間の過ごし方とか。

(写真)原田雅彦さんプロフィール

1968年北海道上川町生まれ。小学校3年生からスキージャンプを始める。87年雪印乳業へ入社。90年代以降、日本を代表するスキージャンプ選手として活躍。冬季オリンピックでは日本選手最多の5大会連続出場を果たす(92年アルベールビル、94年リレハンメル、98年長野、2002年ソルトレークシティー、06年トリノ)。オリンピックや世界大会を通して獲得したメダル数は計9個。これもまた日本選手最多である。06年3月、現役を引退、同年4月から雪印スキー部コーチに就任。07年2月開催のFISノルディックスキー世界選手権札幌大会広報大使。

お知らせ
「2007年FISノルディックスキー世界選手権札幌大会」開催

原田雅彦さんが広報大使を務める「2007年FISノルディックスキー世界選手権札幌大会」が、北海道札幌市にて開催されます。競技種目は、ジャンプ3種目(ノーマルヒル個人戦、ラージヒル個人戦、団体戦)、ノルディックコンバインド(複合)3種目、クロスカントリースキー男女12種目。開催期間は07年2月22日〜3月4日。詳細は下記大会ホームページを参照してください。

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