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ひとインタビュー特別編 さまざまな価値観で生きている人々が存在していることを知る、これが大人の旅 草野満代さん

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年齢とともに変わる楽しみ。
旅、だからやめられない

ハネムーンからセンチメンタル・ジャーニー、ツーリング、そして巡礼、修学旅行、ひとり旅…。「旅」にまつわる単語が多くあるように、人によって旅の行き先、目的、スタイルはさまざまだ。学生時代からこれまで、国内外を旅してきたキャスターの草野満代さん(39)は、年齢とともに、旅の楽しみ方が変わってきたという。長く務めたニュース番組に一区切りつけ、新たなステップを踏み始めた草野さんにとって、旅の魅力とは。ひとインタビュー特別編として、学生時代の貧乏自転車旅行から時間に追われる取材旅行まで知る小野高道・どらく編集長が聞いた。

草野満代さん プロフィール

1967年生まれ、岐阜県出身。89年、NHKに入局し、金沢放送局に赴任。「NHKモーニングワイド」や「NHKサンデースポーツ・サタデースポーツ」などのキャスターをつとめる。95、96年には「紅白歌合戦」の総合司会も。97年にフリー。TBSの「筑紫哲也NEWS23」キャスターをことし9月までおよそ9年間つとめる。津田塾大学学芸学部数学科卒。趣味は映画、音楽、オペラ鑑賞、旅行、ドライブ、ワインと多彩だ。

―― 草野さんにとって、最初の旅の思い出は

記憶にあるのは三重県の長島温泉かな。幼稚園児のときだったと思います。温泉といっても、ジェットコースターやプールがある遊園地のような場所。私は岐阜県の出身なんですが、いまでいえばディズニーランドのような存在でした。両親と5歳違いの弟だけではなく、父の幼なじみ7、8人と、その家族も一緒。総勢30人くらいで行くのが毎年の家族旅行でした。

―― 強い印象がある?

温かい記憶、ですよね。30年くらい前の旅ですが、写真もたくさん残っています。庶民の家庭で、レジャーやリゾートの世界にたけていない両親が一生懸命やってくれた、という印象があります。

角田光代さんの著書を読んで、もう一度「冒険的な旅」に

―― 旅の流儀は? まず情景を刻み込むのですか

大人になってからは、ただ行って楽しかった、というだけの旅はしていません。冒険的な旅、刺激的な旅、自分に栄養になる旅をしています。現地の人との出会いや土地との混ざり合いが、何より自分のプラスになると思って。

実は、ニュースキャスターを始めてから忙しかったためか、どこかへ逃避する旅を9年間してきました。その後はなまけ気味になり、リゾートで何もせず、ボーッとする旅をしばらく続けました。でもあるとき、対談でお会いすることになっていた角田光代さんの著書を読んだのです。年齢も名前の読みも同じで、勝手に親近感を持っていたら、彼女は、私がかつてしてきたような冒険的な旅を相変わらずしていた。

「ああ、私ももう一度、こういう旅をしてみよう」と刺激を受けました。だからここ2カ月間で、日本にいたのは10日間くらいなんですよ。

―― 今まで一番、気に入った旅は

一番強烈だったのは、大学3年のとき、初めて行った海外旅行のインド、ネパール。藤原新也さんの「メメント・モリ」(情報センター出版局)を読んで、「やっぱりインドに行かねば」と。友人と2人で3週間、バックパックの格安旅行でした。

―― 何か発見は

当時はバブル全盛期で、私も能天気で、問題意識もない女子大生でした。でもインドで、ものすごくやせ細った少年が、大人ふたりを乗せて、力車をこいでいる姿を見ました。それが家族を支える、わずかな収入だったんですね。

あとは、今となったら笑い話なんですが、デリーから電車に乗って、あるまちに降り立ったとき、男性から「ホテルを紹介する」と声をかけられたんです。でも「もう自分たちで予約してある」などとごまかして離れようとしたのに、ずっとついてきて。

気温40度くらいの炎天下、バックパック姿で約1時間うろうろ。ホテルを探し疲れた私はあんなに怒ったのは生まれて初めてというほど、彼にキレました。「だから必要ないって言ってるじゃないのよー!」と。

でも日本語がわからない彼は、きょとんとしただけで、まだついてくる。こっちも根をあげ、最後は「わかったから」。

連れていってもらったホテルは、実は安価なのに、よかった。その時、彼が私たちに「ほらね」というようにウィンクしてきたので、私も「まぁね」と笑って。きっとホテルから彼は紹介料をもらっていたのでしょうが、今まで実感したことがなかったような、生きるための執念を目の前につきつけられた。さまざまな価値観で生きている人々が、同じ時間に存在していることを知ることが、自分にとっては大切なことだ、と思いましたね。

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