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ひとインタビューストレスは心のバネになる 強靭な器と女優の柔軟さと 第二十六回 風吹ジュンさん

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抗い、もがいてこその人生

――ご自身は闘っている?

もちろん。でなければ、ここにいないです。生きていれば、乗り越えなければならない試練はいっぱいあるし、家庭の中でも、いろんな問題が次々に浮上してくる。でも、そうやって辛酸なめて抗って、もがいて生きてこその人生なのではないのか、と。

――風吹さんはもがいているさまが外に現れていない

たぶん、笑っているからだと思います。私は悲しいこと、嫌なことがあるときこそ、笑える。皮肉っぽい表現ですが、でも、それは闘っているからですよ。闘わずして生きるというのは、私にはあきらめに見える。それなりの年の取り方にしかならない気もします。

――それにしても、数多くの映画やドラマに出演。自身にとって仕事とは

私にとっては逃げ場であり、自身を凛(りん)とさせてくれる場所であり。自分を気づかせてくれる、まさに魂萌えの場所って感じかな。俯瞰(ふかん)の位置に立たないと、案外、人は自分に気づけない。そういう意味で、客観的な位置に私を立たせてくれ、いろんな気づきをさせてくれるのが仕事ですね。

責任取れない仕事はしない

――女優を続けていこうと思ったきっかけはあるんですか?

この仕事なら続けられる、初めてそう思えたのが女優だった。結果でしかないですね。ただ、デビュー作「寺内貫太郎一家2」が大きいかもしれません。このドラマを通して出会った人々の価値観に共鳴できたし、この人たちとなら一緒に仕事したいと思わせてくれたから。ただ、どんな仕事でも受けているわけではないのです。私の場合、脚本、演出、相手の役者、この三条件のうちひとつでも良いものがないとお断りしますね。嫌だなと思いながら受けてしまうと、ただつらいだけの仕事になってしまうし、責任も取れないですから。

――責任を持って演じることができるかどうか。それが選択基準

仕事ってそうでしょう。「風吹ジュン」は商品なんです。世の中を説得する力があるか、商品として認められるかどうか。だからこそ、一つひとつ責任を持って携わっていかないといけない。

私という人間は一つのハードディスク。結婚して、子どもがいて離婚し、友だちがいて、映画や音楽が大好きで好奇心旺盛で。そういうハードの中に組み込まれるソフトの一つが女優「風吹ジュン」なんです。もともとのハード、すなわち私という人間がいろいろな経験や情報を抱え、たくましく強靭(きょうじん)だからこそ、女優というソフトの部分もまた鍛えられ、バージョンアップできる。年を積み重ねるってそういうことだとも思います。

――ソフトがハードを成長させてくれる。逆もあるわけですね

そう。ある意味、女優というのは柔軟で、そして自身を開示していかないとできない仕事。ソフトの部分で作品を通してさまざまな経験を積み重ねていく。それが自分という人間の振り幅や許容範囲、視野を広げていってくれる面も大きいと思います。

――仕事以外に、これから何か挑戦されたいことは?

やりたいことはいっぱいあります。以前から興味のあるお茶を調べに中国に行きたいし、子どもの写真の整理もしたいし、クラフトや習字もやってみたい。それと知識をもっと広げたい。知識はより人生を豊かにしてくれるものだから。ふだんからけっこうパソコンで検索したりしているんです。新しい情報を得るだけで人って結構ワクワクできるものですよ。

(写真)風吹ジュンさん3つの質問
質問1
これまでの人生で最大の買い物(投資)は何ですか?

今、暮らしているマンション。自分自身にとっては負荷、荷物にしかならないものだったのですが、子どもたちには「帰る場所」が必要だと思って購入しました。

質問2
こだわりがある、という生き方をしていると思う人を挙げてください

友人でもある編集者の都築響一さん。人が目を背けたくなるようなことでも好奇心の目で対峙(たいじ)し、それを表現しようとするエネルギーに満ちあふれている。貴重な存在の方だと思います。

質問3
人生に影響を与えた本は?

人生に影響を与えているかどうかはわからないですが、20代からずっとそばにあるのは世阿弥の「花伝書」。ストーリーではなく、考え方、発想のバイブル的存在の一冊です。とくに開いたりするわけでもなく、時々背表紙のタイトルを見て、中に書かれていることを思い出す。でも、それでいいかなと思っています。あとは吉本隆明さんの「共同幻想論」。最近だと松浦弥太郎さんの随筆集「くちぶえサンドイッチ」。この本は若い人たちの感性やものへのこだわりが見えて楽しいですね。

アンケート 今回のインタビューについて皆様の「声」をお聞かせください。

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