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ひとインタビュー妻との出会いが人生を変えた 心底愛すると、いい曲できる 第二十九回 加山雄三さん

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過去の反省なく明日ない

――ダメージを受けたら、それをバネなりエネルギーに変えていく思考力が必要なのだ、と

そう。逆に窮地に立たされた苦しい経験がないと、本当の幸せもまたわからない。人間には苦も楽も必要なんです。それと、間違った方向に走ったとしても、それを軌道修正したいという平衡感覚を人間は本能的に持ち合わせている。だから誰でも自分次第で幸せになれるんです。

過去にこだわる人間に明日はないけれど、過去を反省しない人間にも明日はない。自分が間違ったと思ったら、素直に真摯(しんし)に反省することが、幸せな心の復活につながると思います。

――そんなふうに、常にエネルギッシュに、前向きな気持ちへとご自身を誘ってくれるものは?

それは、宇宙の不思議や、存在の不思議さへの好奇心。実は年中、頭の中で宇宙旅行をしています。ものの成り立ちが僕は不思議で仕方ないんです。宇宙に意志があったからこそ人間は誕生したのだとか、光の速度よりも早いのは人間の思考力じゃないかとか、考えるだけでワクワクしてくるし、僕にとって安らぎになっている。かつて苦境に立たされたときも、それが癒やしとなってくれたから乗り越えられた。宇宙や存在の不思議さへの探究心こそが、僕自身を突き動かすエネルギーの源になっているんです。

第六感信じて、舵取りを

――ところで、団塊世代にとって加山さんはあこがれの星ですが

団塊の人たちは本当に頑張ってきたと思う。若大将や僕にあこがれてくれたことは決して間違っちゃいなかったよって言いたいぐらい。だから、定年で「やることがない」なんてぼやいていてはいけない。自身の第六感を信じて、自分のやりたいことをまた見つけたらいい。退職して職は失っても、生きた人間という肉体船に乗った魂は生涯現役。自分がその肉体船の船長なんだから、棺桶(かんおけ)に入るまでは責任もって舵(かじ)取りしてほしい。

――ご自身のこれからの活動は?

今年はCDを出す予定です。正月休みに12曲作ったんだけど、30曲を目指しています。その中から10曲くらいを選びます。自分でも驚くほど、曲作りに意欲が沸き上がっていて。そういうときにできた曲は結構いいと思います。

――若いアーティストの曲もよく聴かれるそうですね

クラシックからヒップホップまでジャンルは関係なく何でも聴きます。最近だと桑田佳祐、倖田來未、元ちとせ、平原綾香あたり。彼らの曲から刺激を受けています。素直に描いた絵の出来栄えがいいのと同じように、音楽も心底愛する気持ちから生まれてきた曲は絶対にいいものになるという確信もある。もちろん、僕から生まれるのはあくまで70年代音楽で、加山雄三サウンドでしかないと思うんだけれど、1人でも多くの人に喜んでもらえるサウンドを作りたい。

(写真)加山雄三さん3つの質問
質問1
これまでの人生で最大の買い物(投資)は何ですか?

妻に対する愛情。そして、音楽や絵への愛情。自分が愛するものに対して情熱を注ぎ続けることが人生の投資だと思うし、それを続けなければ存在はあり得ないのではないかと思います。

質問2
こだわりがある、という生き方をしていると思う人を挙げてください

自分の周りには数えきれないくらいいます。しいて挙げるならサザンオールスターズの桑田佳祐君。それと山下達郎君。音楽を聴けばわかる。並の努力や知識ではできない曲を彼らは作っています。

質問3
人生に影響を与えた本は?

「空飛ぶ円盤実験記」(G・アダムスキ著)。高校生のときに読みました。夢があって好奇心を揺さぶられ、これをきっかけに物理が好きになり、勉強を始めました。この物理に対する好奇心がいつも根底にあって、自分なりにいろんな専門書を読んだりしてきました。今ももちろん読んでいます。たぶんどんなつらい状況にあっても、それを乗り越えてこられたのは、この物理に対する好奇心が自分の安らぎになってくれたから。僕に影響を与えてくれた本は数えきれないほどあるけれど、やすらぎを与えてくれたのはこの1冊です。

アンケート 今回のインタビューについて皆様の「声」をお聞かせください。

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