日本が生んだ世界的ギタリスト、渡辺香津美。70年代には坂本龍一らと「キリンバンド」を結成し、イエロー・マジック・オーケストラとの世界ツアーも果たした。近年はアコースティックギターの可能性を模索。音楽を担当した舞台「血の婚礼」(ガルシア・ロルカ作、白井晃演出)では、フラメンコギターを手に自ら舞台にも登場し、異色のコラボレーションを実現した。第一人者でありながら、常にギターの新しい可能性に挑戦する姿勢が、幅広いファン層の共感を呼んでいる。
(取材・文/藤坂樹理 写真/赤城耕一)
フラメンコという音楽は非常にスピリチュアルで、実際にスペインで何年か過ごしてみないと分からない要素がある。歌の伴奏20年、踊りの伴奏20年で初めて一人前と言われるんですが、とてもそんなにやってられない(笑い)。スペインの土と風の匂いみたいなものを僕の中でイメージして、自分の体験してきたギターの世界から、新しいものを生み出すようにしました。
ギターは弦を上に爪で引っかけるのが基本ですが、フラメンコの場合は逆にはじくんですよ。今までに使っていない筋肉を使うんで、痛くなったりして。でも気持ちいいですね。自分で自分がういういしいですよ。まだ新しいものができるんだなって。
フラメンコの奏法は、弦をたたいたり、ボディをたたいたり、形としてあらゆるものがある。情報量が多いというか、6つの弦を瞬時に4回駆け上がって、1秒間に30個ぐらいの音を出す瞬間があるんです。
僕は渋谷に生まれたんですが、小学校高学年から映画館に通ってました。好きな映画が3つあって、エレキの若大将と、ゴジラなどの怪獣ものと、植木等さんの無責任シリーズ。エレキと怪獣と無責任が僕の人格を作ったんじゃないかと(笑い)。音楽もエレキからで、高1ぐらいから渋谷のライブハウスにひそかに行っていました。
そう言われてましたね。僕は九段の暁星に通っていたんですが、エレキギターを見せびらかしに行って、早朝練習をしていました。先輩にモト冬樹さんがいらして、中1の時だったか、休み時間にいきなりギター持って乱入してくるんです。モトさんは「オレの演奏がカッコいいから君もギター始めたんだろ」って言ってます。「ギター教えたのがオレだったってことは、あんまり言わない方がいいよ」って。でも本人があちこちで言いまくっていますが(笑い)。

ギタリスト、作曲家、音楽プロデューサー。1953年、東京・渋谷生まれ。17歳でデビュー作「インフィニット」をリリースし、天才ギタリストの出現と騒がれる。今田勝、渡辺貞夫、鈴木勲など国内のトップ・グループに在籍し、79年には坂本龍一、矢野顕子らと伝説の「キリンバンド」を結成。同年秋には「イエロー・マジック・オーケストラ」のワールドツアーに参加する。80年代には大ヒット作「トチカ」を皮切りに、フュージョン史上に残る作品を次々と発表し、トップ・ギタリストとしての地位を確立する。
90年代からはアコースティック・プロジェクトに力を入れ始め、ギタリストとしての可能性をさらに極めていく。
2003年にはNHK教育テレビ「アコースティックギター入門」の講師を務める。
ホームページアドレス
http://www.hilltop.co.jp/kazumi/
渡辺香津美さんのライフワークとなるソロギター・プロジェクト「ギター・ルネッサンス」。4月発売のアルバム第4弾「響」は、舞台「血の婚礼」(ガルシア・ロルカ作、白井晃演出)への出演をふまえ、スペインをモチーフにしたオリジナル曲も多く収録されています。
アルバム発売を記念して、7月16日、東京・渋谷のHakuju Hallで公演が行われます。
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