「大輔という名前を背負ってプレーする責任がある」。この人の口からこの言葉が出てきたのは、インタビューも後半のことだった。高校時代からずっと華を背負ってきているのに、実際は寡黙な人だ。世に知られた荒木大輔とは別の、もう一人の荒木がいる。誠実に野球と向かい合う本当の荒木大輔の言葉を、ここに紹介しよう。
(取材・文/神山典士 写真/田中史彦)
彼の穴は埋めようがないということは前々からわかっていました。だから全員で春先から全力でスタートダッシュを切ったのですが、疲れも出てきました。それと、この機をチャンスにしようと感情を剥(む)き出しにする選手が最近は少ないですね。あまりに「いい子」が多いような気がします。
能力的には今の子の方が高いです。僕は最盛期でも143キロ程度の球速しか出なかったし、フォークもストンと落ちる感じではありませんでした。その代わり沈むフォークだったので、打者に打たせて凡打に仕留めるというずるさがありました。タイミングを外したりボークぎりぎりのことをやったり、抜け道を探して勝負するタイプだったのです。だから今の選手を見ていると、もっと頭を使えば勝てるのにと思ってしまうところはあります。
僕自身、早実1年生の時に先輩投手が相次いで故障したことでチャンスが回ってきました。若い選手たちにも、松坂が抜けたことをチャンスと思って頑張ってほしいですね。
コピーライターの糸井重里さんがつけてくださったのです。負けん気を前面に出すタイプではなかったのですが、強い者に向かっていく気持ちだけは誰よりも持っていたつもりです。そういうところを見てくれている人がいるんだとわかって、うれしかったですね。
自分で最も充実していたと思うのは右ひじとヘルニアの故障から復帰したあとのプレーです。古田選手(現・ヤクルト監督)たちと一緒に優勝することもできました。その頃になってようやく周囲が見えてきて、裏方さんの苦労とか若手のことを考えられるようになりました。自分は野球が本当に好きだったんだと感じてプレーできたのは、まさにあの時期だったと思います。
その体験があったからでしょうか、引退して解説者になってからも、中途半端に野球とかかわることができなくなりました。普通解説者になると、キャンプ地を回っていても途中でゴルフをしたり仲間と遊んだりもするのですが、そういうことが僕はできなかった。現役時代、そんな取材者たちはあまり好きになれなかったし、泥にまみれて練習している選手に申し訳が立たないと思ったんです。だからキャンプ地でもグラウンドから戻ると、ホテルの部屋で翌日の取材の準備をしていました。
シーズン中も、解説者として僕が唯一誇れるのは、球場に行かない日でもスポーツ紙の編集室に毎日通っては、テレビを見ながらスコアブックをつけ続けたことです。
松坂大輔が投げる試合は全試合見ました。球場に行くか編集室に行くか。とにかく自分の名前を継いだ選手という意識はありましたから、食い入るように見ていましたね。

1964年東京生まれ。兄の影響で小学校2年生から野球を始め、リトルリーグ世界一。早稲田実業時代甲子園に春夏5回出場。1年生の夏の大会では準優勝を飾る。83年ドラフト1位でヤクルトスワローズに入団。3年目に巨人戦3連勝を記録。巨人キラーと言われる。以降開幕投手を2年連続で務めるも、88年ひじを故障、リハビリ中にはヘルニアも患い闘病生活を送る。92年に奇跡の復活。ヤクルト日本一に貢献する。96年引退。通算成績39勝49敗2S。以降テレビ解説者を経て1年間アメリカ2Aチームへコーチ留学を経験。2004年西武ライオンズに伊東勤監督が誕生すると同時に、投手コーチに招請される。松坂大輔の名前はこの人からつけられたことは有名なエピソード。松坂世代には「大輔」の名前が多いと言われている。
夏休み(7月10日〜8月30日 合計24試合)の特別企画として、グッドウィルドームで開催される西武ライオンズ公式戦に、ライオンズ選手が懐かしいオールドユニフォームまたはサマーユニフォームを着用して試合を行います。オールドユニフォームは、西武球団創設から1995年までビジターユニホームとして着用していた青色が鮮烈だったユニフォーム。往年のファンには、西武ライオンズがとてつもなく強かった時代を象徴するユニフォームです。またサマーユニフォームは、ブルーを基調としたまったく新しいデザインのもの。背面には赤色のライオンの牙(きば)が入り、力強い印象を与えるユニフォームです。レプリカユニフォームの限定販売もあり、詳細は下記公式サイトで。
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