これこそまさにオタクの真骨頂です。小さい頃から欧米のポップスが大好きで、ビルボードのナンバーワンになる曲が作りたいと思っていました。小学生のときから、英語を生かすメロディーと、日本語を生かすメロディーは根本的に違うと気づいていたから、英語で曲を作らないとそれは実現できないと思っていました。
ただ、曲を作ることはそんなに難しくはなかった。父親が音大教授で、母がバイオリンメーカーの娘。そんな環境に育ったから小学2年から譜面の読み書きはできたし、小学4年頃から作曲も始めていました。だから、音楽はもう得意すぎるくらい得意だったんです。
変なガキでしょ。野球やっていても曲が浮かぶはずがないのに(笑い)。ただ、音楽に関してはプロ並みの技術をその頃にもう持っていたと思います。それだけ歴然とした差は自分自身でも感じていました。
そこなんです。問題は英語。実家は埼玉だし、当時、外国人を実際に見たこともないわけだし。でも、初めて作ったのは中学2年のときです。たまたま友達が日本語で詩を書いてきて、僕に英訳して曲をつけてくれというわけです。それで、できるはずもないのに4行くらい無理やり英語に訳したんですよ。英文法としてはまったくデタラメですが、すごくいい曲に仕上がってみんな大絶賛。ただ僕自身は、当時から中途半端なことが許せない性格で、でたらめな英語を書くのが苦しくなってしまった。それで、英語でちゃんと歌詞がかけるまで、作曲はしばらくやめようと3年間封印したんです。
そう。それでピッタリ3年後の高2の4月、英語の時間に詩と曲がいっぺんに浮かんできて夢中で英語ノートの余白に五線譜を書き、文法的に合っている英語の曲を初めて作った。気づいたら違う先生が教壇に立っていて(笑い)。それぐらい集中していたんだと思うけれど、それ以降、どんどん曲が作れるようになりました。
発音も独学。例えば、英語では子音で終わる単語と母音で始まる単語がつながっている時は、二つの単語を繋げて発音したりするのですが(リエゾン)、そういうことも自分で発見しました。その他にも、レコードに合わせて歌って、レコードの歌声が聴こえてきたら発音がズレている証拠だから、やり直す、という練習方法も発明しました。
「プロツールス」という、自宅を音楽録音スタジオにできてしまうコンピューターシステムがあるんです。これを一式そろえて、それで作品を作るのにハマっています。いやあ、これが本当に面白い。どんな楽器の音も音域も含めて正確に出るから、オーケストラ曲もこれでできちゃう。作詞、作曲、アレンジ、歌、そしてミキシング、マスタリング全部自分でやるから時間はかかるけれど、誰も文句言わないし、何度やり直しても嫌な顔をする人がいないっていうのもいい(笑い)。自分の思いどおりの音を作れるのって実に気持ちいい。楽しくてたまらないです。プロツールスの前ではいつもにやけていますね。
あまりに面白くて、夢中で作業しているときにふと「そういえばビートルズを音にしたことがなかったな」と気づいたんです。初期の作品はすべてのパートを暗記していたのですが、初期も後期も、あらためてコピーしなおして、一人ですべて演奏して、といっても80%コンピューターですが、すごいものができました。最初は配信でしか販売していなかったのですが、評判がよかったので、CDにしてレコード店で売り始めています。今はビートルズ風なオリジナル曲を作り始めているところです。すごくいいですよ。期待していてください。
とくに音楽に関しては小学生のときの気持ちと何ら変わらない。実力もさほど変わっていないかもしれないですが(笑い)。ただ、誰だって、15歳のときのみずみずしい感覚は、今の自分に歴然と生きているわけで。つまり、少年時代だけがみずみずしいわけでもないし、少年だったからギターが楽しかったわけじゃない。本当に好きなら年齢関係なく楽しめるもの。今とか昔もあまり関係ないと思う。今さら15歳には戻りたくはないと思うけれど、あのときの感受性まで捨ててしまうのはもったいないと思います。
そうですよ。僕なんて、小学校のときから欧米のポップスが好きで授業中も関係なく、1日中大声で歌っていた。今もそう。無意識に大声で歌っています。時々一緒に歩いている女房に注意されるくらい、外でも大声でね(笑い)。

子どもたちの学費。1男5女いますからね。大学生3人、インターナショナルスクール2人というときが一番すごかった。今思うと、一体どうやって払っていたかと思うくらい大変でした。
みんな何かしらこだわりがあると思う。たとえば渡辺香津美さん。板に弦を張ったものを自分で考案し、「ゲンさん」と称して持ち歩いているんです。「これがあれば、飛行機の中でもギターの練習ができるから」って。思わず「もうさあ、世界一ギターうまいんだからいいじゃん!」って言ってしまいました(笑い)。冨田勲さんもそう。70歳を過ぎてもなお、いつ曲が浮かんでもいいように小型のコンピューター用録音機材を持ち歩いているし、水島新司さんもマンガフェア会場のブースのなかでマンガを描き続けていたり。でも、そういう人ってどこにでもいると思う。プロと呼ばれる人々というのは、何かしらみんな面白いもの、面白い面を持っているものですよ。
「少年サンデー」&「少年マガジン」。これに尽きますね。
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