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ひとインタビュー家族が心地よく暮らせるのが目標 役者観が変わった監督との出会い 第五十三回 三浦友和さん

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相米慎二監督との出会い

――その状況をどう打破したのですか

32歳の時に相米慎二監督の映画「台風クラブ」に出演したことが、大きな転機になりました。台風前の中学生たちの何とも言えない興奮を描いた映画ですが、僕はいい加減な大人の象徴みたいな教師役。それまで出演したのは全国一斉の封切り映画ばかりでしたが、初めての単館系。撮影の間に宿泊するのも民宿で、合宿みたいなムードでね。衣装合わせの時に「三浦さん、もっと太れない?」なんて言われて、それが新鮮で(笑い)。いろいろなことを相米監督から教えてもらい、自分の勘違いみたいなものにも気づかせてもらいましたね。それまでは文芸作品の全国ロードショーなどで二枚目の優等生役ばかりを演じ続けていましたから、その重みみたいなものを勝手に背負い、責任のようなものを感じていた。それを相米監督に「いいんだよ、そんなこと考えなくて」と言われたような気がして。俳優という職業は実はすごくおもしろいものなんだと初めて気づいた。

――今年で結婚27周年を迎えました。2人のお子さんも成人されましたね

結婚生活は最初の10年は周囲からの注視もきつく、傷つくこともありましたが、いい思い出のほうが多く、やっぱりおもしろかったですよ。何というか、人が難なくできることをやるのに相当がんばらないといけない生活でしたから。また結婚して「普通の家庭」を築きたいと思いがんばってきましたが、普通って何なのか今もわからないですね。子育てもなりゆきでしたが、2人とも人間として真っすぐに育っている、という感じはあります。次男はライフガードのボランティアをしているのですが、遊びたい真夏の日々を全部つぶしてそういうことができる青年になったことは、親としてうれしいですね。まぁ子育てはおもに妻がやったのですが。

――奥様が子育てで力を入れていたことはどういうことでしたか

毎日毎日、朝きちんと起こして、お弁当を作ったことです。うちの子の学校はずっと給食がなかったから、幼稚園から高校まで十何年も毎日続けた。だから子供は母親には文句を言わないはずですよ。

これからは子供も巣立っていくでしょうし、夫婦が向き合ってどう生きるかが、最大のテーマです。共通の趣味はないのですが、小さい目標をいろいろ決めて、その実現のために一緒に努力したいですね。たとえば旅行。若い時、僕も妻も世界中に仕事で出かけましたが、ただ行って帰ってきただけ。もったいないことをしたなぁと思っているんです。旅って、事前に勉強していかないとつまらないですよね。今度は美術館の所蔵品の歴史を事前に頭に入れてから旅に出たいです。

夫婦げんかは一度もしたことがない

――夫婦げんかを一度もしたことがないそうですが、仲良しの秘訣を教えてください

簡単ですよ。そうなりそうになったら、すっと下がる。そこで一歩進もうとするからけんかになるわけで。そしてある程度緊張感を持ってお互いを尊重する。また、隣の芝生は青いという気持ちが自分の中にあるとだめでしょうね。先日、ある女優さんに「あんな素敵な奥さんがいたら、浮気する気にもならないでしょ?」と言われたんですけど、会ったこともないのにどうして素敵ってわかるんだろう?と。確かに素敵だけど、人が思っている素敵とは違う現実があるんですが(笑い)。何より、夫婦円満のひけつは、一緒になった時の気持ちを忘れないことが大切じゃないでしょうか。

(写真)三浦友和さん3つの質問
質問1
これまでの人生で最大の買い物(投資)は何ですか?

家ですね。今もローンを引きずっています。僕に限らず、家を買ったことが人生最大の買い物という方が日本人には多いようですが、それが日本の現実ですよね。日本の俳優の現実でもある(笑い)。そんなもんですよ。自家用ジェットとか、ありえないですからね。

質問2
こだわりがある、という生き方をしていると思う人を挙げてください

奥さんですね。彼女は自分の生き方に対し、非常に強いこだわりをもっているようです。自分が大切にするものはもちろん、生き方そのものにこだわっているんだと思います。

質問3
人生に影響を与えた本は?

高校生の時に読んだ、太宰治の「人間失格」です。当時は、主人公のことが自分自身のように思えてしまって、完全に同化していましたね。高校生の時って、太宰とかヘルマン・ヘッセとか読んでその気になっちゃうんですよ。この本を読んだ時は影響を受けて何日も暗かったです。

アンケート 今回のインタビューについて皆様の「声」をお聞かせください。

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