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ひとインタビューこだわり持たないのがこだわり 片意地張らずに自然体で生きる 第五十四回 ひし美ゆり子さん

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深さがあった「ウルトラセブン」

1967年放映の「ウルトラセブン」でウルトラ警備隊の紅一点アンヌ隊員を演じ、今なおファンの多いひし美ゆり子さん。ことし還暦を迎えたズバリ「団塊の世代」だが、32年ぶりの主演映画「真・女立喰師列伝」(11月10日公開)では、押井守監督にくどかれヌードを披露した。「おだてられるとすぐノッちゃうの」。花が咲いたような明るい笑顔は、まさに「永遠のヒロイン」だ。
(取材・文/小原篤 写真/安冨良弘)

――「ウルトラセブン」は現在、設定を変えた新作「ウルトラセブンX」が放映中です。長く愛される作品ですね

子供番組というより、SFで大人っぽかった。ゴミ問題や兵器開発といったテーマは、40年たってもいまだに通用します。ということは、人間って40年前と変わらずバカなことを続けているのね。「セブン」はそんなことも教えてくれます。

視聴率は良かった方ですけれど、「ウルトラマン」よりは落ちました。少し暗かったし、子供にはとっつきにくかったのかも。でも、何年かたって見返したら、成長した分だけ面白さが分かる。そんな深さがあったと思います。

今の人気は、当時子供だった世代のノスタルジーもあるんでしょう。子供の時おもちゃがほしくても買えなかったからそれを取り返そうと、いまDVDボックスを買ったり、食玩(玩具つき食品)を「大人買い」っていうんですか、まとめて買って下さるみたいで。

不思議と今の子どもにも人気があるのは、そうした大人が、親として子供に見せているからじゃないですか。「セブン」は子どもにこびてなくて、おちゃらけてもいないから、自分の子に見せたくなって、そうして、世代を超えて引き継がれてファンが広がっているのでは。

――はつらつとしてキュートなアンヌも、愛され続ける「永遠のヒロイン」です

地球を守るウルトラ警備隊員で、20歳にしてドクターでもあるという役ですけれど、私がやったことで「見るからに才媛」という女性じゃなかったでしょ? ちょっとくずれたアンバランスさというか、ギャップがよかったんじゃないでしょうか。自伝を書いたらたくさんの反響があって、「セブン」とアンヌって、そんなに人気があるのかとびっくりしました。

60歳を迎えて急に「多忙」に

――ご自身もその1人である「団塊の世代」について、どう思いますか?

何やるにも、競争、競争という世代でしたね。外からは、十把一からげに持ち上げられたり煙たがられたり。今は、退職金を狙って商売しようという人たちがたくさん待ち構えているんじゃないですか。そういうの嫌いだし、ひとくくりにするな、と思います。

6月に60歳になりました。この間、私が昔出た「海潮音」という映画を劇場に見に行ったら、シニア料金で、1000円で済んじゃいました。その時、「あっ、あたしもシニアなんだ」と思いましたね。自分が60だということを、ふっと忘れてしまうんですけれど。

でも、こんなこともありました。主人は年下なんですが、私が還暦になったら、「もうこの先も長くはないんだから、好きなことをやれ」、なんて言い出しました。実は、親しい友人の病気がきっかけで、「オレは苦労させたし、もしママがいま急に余命いくらだ、なんて病気になったら申し訳ない。だから何でも好きなことをやれ」って。せっかくそう言ってくれるのならと、さっそくタイに旅行に行きました。以前は飛行機が嫌いでしたが、もう開き直って乗っています。旅行の後は、次の映画の撮影。出無精だったはずなのに、急にどうしたことでしょうね。

(写真)ひし美ゆり子さんプロフィール

1947年、東京都生まれ。ミス東京セニョリータ準優勝をきっかけに東宝に入社し、映画「パンチ野郎」でデビュー。72年からフリー。映画は「鏡の中の野心」(72年)や「好色元禄(秘)物語」(75年)、テレビは「ウルトラセブン」(67年)や「プレイガール」(73年)などに出演。97年に自伝「セブンセブンセブン わたしの恋人ウルトラセブン」出版。写真集「アンヌへの手紙。」「ひし美ゆり子写真集 YURIKO1967―73」もある。

お知らせ
映画「真・女立喰師列伝」

11月10日から東京・渋谷のシネクイントで公開中。大阪・テアトル梅田、名古屋・シネマスコーレでも順次上映予定。立ち食いのプロ「立喰師」を主人公とする短編6本によるオムニバス映画。アニメ映画「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「イノセンス」などで知られる押井守監督が原作・総監修を務め、ひし美ゆり子主演「金魚姫 鼈甲飴(べっこうあめ)の有理」と、佐伯日菜子主演「ケンタッキーの日菜子」の2本を監督した。ほかに「草間のささやき 氷苺の玖実」(藤田陽子主演、湯浅弘章監督)、「歌謡の天使 クレープのマミ」(小倉優子主演、神谷誠監督)など。

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