押井監督のお考えになった「立喰師」というのは、立ち食いのプロなんだそうですけど、結局なんなのか今もわかりません。押井さんに「背中に金魚のいれずみを入れてほしい」って言われて、背中なら見せてもいいか、と思ったけれど、私もバカだから冗談でこう言ってしまったんです。「背中だけじゃなく、前にもいれずみを入れて、前バージョンと後ろバージョンの二つのDVDを作ったら、倍売れるんじゃない?」。そしたら、前にもいれずみを入れることになっちゃいました。やぶ蛇でした。
そうですか? 子供を4人も生んで、撮影時は59歳、それがヌードなんて、ねえ。同じ団塊世代の人たちはどう思うかしら? 主人からは「おい、お前ヌードになったのか?」と聞かれました。週刊誌の記事を読んだお客さんから聞いたらしいんです。その記事がまた、大したものが映っていないのに大げさに書くものだから。ちょっとうるさい亭主だったら、家庭騒動になってるところですね。
そのシーンは、試写では冷静に見られなくて、なんだかアッという間に終わってしまいました。DVDになったら、そっと見返さなくちゃ。
映画やドラマの中の私って、鉄火肌の姉御みたいなイメージなのかもしれませんが、本当は気が小さい。「シルバー假面」(06年公開)という映画の撮影で、胸にピンマイクをつけて演技をしたら、おかしな音が入っていました。私の心臓の鼓動だったんです。科学者の役で、難しい言葉がいっぱいセリフに入っていたものだから、もう心臓がバクバクしてしまって。
1年半くらい前にお店に訪ねてきて、「お願いします、僕の映画に出てください」。ただ私、押井監督のこと知らなかったので、私の写真集やDVDを出してくれたことのあるプロデューサーの森遊机さんに話したら、「そりゃすごい。どんな役でも出なきゃダメですよ」と。
「どんな映画を撮る人?」「うーん、ひし美さんなら5分でイヤになります」だって。なんか、難解でシュールな作品が多いそうですね。私はリアリストなので、そういうのは苦手なんです。どうしようかと思っていたら、何とその森さんが押井さんの映画のプロデューサーになってしまい、結局出演することになりました。これは、押井さんの作戦だったのかな。
でも、私のお店に来た時はどんな映画のどんな役にするかはまだ決めてなかったみたいです。ただ私を撮りたかったのね。私が東宝を辞めたあと初めて脱いだ「鏡の中の野心」という映画が公開されたとき、押井さんは1週間の公開期間のうち5日通い、「目に焼き付けた」そうです。
そういう奇特な方がいるおかげで、こんな私にも仕事が来る。女優を辞めていた時期もあるし、マネジャーもつけず、事務所にも入っていません。マネジャーが仕事を取ってきたら、断りづらいじゃないですか。だからひとりが一番、フリーが一番。
こだわりがないのが、私のこだわり。片意地張らずに自然体でずっと生きてきました。こうしたインタビューでも、しゃべらなくていいことをついしゃべっちゃうのは、人間、正直にしている方が楽だから。ウソというか、秘密に包まれている人の方が、俳優としては魅力的なのかもしれませんけれど。私はもう、何でもあけっぴろげですから。

ビルです。主人は東京・調布で台湾料理屋をやっているんですが、2年前、「いいビルが売りに出ている。いま買わないともう買えない」と言い出して、使い道も決めないまま買ってしまった。「さて何やろう」ということで、アジア料理の店を始めました。それがここ(インタビュー場所)、「アジアン・タイペイ」です。
うちの主人。子供の時、作文で「僕の夢は、大きくなったらビルを持つこと」と書いたそうです。夢をかなえたんですね。でも経営に関しては、銀行関係から何から全般、私がやってまして、主人はもう「3年後には今度はイタリアンの店を」とか言い出してます。自己満足というか、挑戦が好きというか……。大きなオタクですね。
脚本も本に含めていいのなら、「ウルトラセブン」の脚本でしょうね。アンヌをやって人生変わりましたし、いまだに女隊員の代名詞みたいですから。印象に残っているのは、際限のない兵器開発に対してダンが言う「それは、血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ」というセリフです。ズシッと心に響きました。
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