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ひとインタビューオトコの色気とさわやかさ 笑顔の裏には努力家の素顔 第五十六回 高橋克典さん

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引退覚悟のバイク旅

――それは、金太郎のイメージが強くなりすぎてやりにくくなったとか

いえ、金太郎のイメージが強いのは自分が頑張った結果、報われたということなので、むしろうれしかった。それより、約10年間がむしゃらにやってきた糸が切れたというか。いや、もうこの話はあまりしたくないんですけどね(笑い)。37歳の時に引退を覚悟で、仕事をキャンセルして3週間一人でバイクの旅に出ました。京都から四国、屋久島など街から街へ、風を切りながら旅して「あぁ、こんな遠くまできちゃったな」と感慨深くてね。そうしたら、その街の人たちが「また金太郎やんないの?」と声をかけてくれたんです。こんな遠くにいる人たちが自分のドラマを楽しみにしてくれていたのは驚きで。夜に高速道路から街の灯を見ながら、自分のドラマをどれだけの人が見てくれていたのだろうと感動を新たにしました。そこで、自分が演じるのはそれを見てくれる人のため、というモチベーションが定まり、「よか ったよ」を目標に仕事ができたら……と。

――バイクの旅は楽しそうですね

バイクって、ひょいとまたがったらもうそこから旅が始まるんです。車だとまわりが囲われているから、どこに行っても中の空気はそれほど変わらないし、電車や飛行機だと地点から地点への点の移動となる。だけどバイクだと、じかに移動する場所の空気を吸って風を浴び、温度や過ぎていく時間を五感を使って全身で感じられる。やってみないとわからないことってありますよね。僕は以前主演したドラマがきっかけでボクシングもやっているんですが、これもはんぱじゃなくキツい。バイクとボクシングなんてカッコつけてると思われそうですが、やってみるとそれなりに意味が深いことがわかる。結局、僕たちはどんな役でも、自分の体や記憶を使って演じざるを得ない。日々縁のあることに挑戦し続けながら、来る役を一つひとつ精一杯演じていきたいと思っています。

年上の女性の魅力

――高橋さんのファンは年上の女性も多いですが、年を重ねた女性の魅力はどういうところにあると思いますか

必ずしも人は年齢では計れませんが、年を重ねるということは、多様な経験を積み、物事にさまざまな解釈ができるようになることだと思うんですね。人として女性として懐が深くなっていく、そんな内面の豊潤さが魅力です。たとえば、きゃぴきゃぴとした若い女の子の旬の時期って、僕も好きですけど、それがすべてではない。それにその時期はとっても短くて、実は女性の人生において「おばさん」の時期の方が長い。だからいかにステキな大人になっていくか、言い換えると、年を重ねながらどんな「女」になっていくか、これは男も一緒ですがね。今は昔と違って年を重ねても女も男も若いですよ。今の50代60代はまさに気力体力充実の時。ところで60歳で定年って早すぎですよね。まだまだこれからと、ぜひ頑張ってほしいと思います。

(写真)高橋克典さん3つの質問
質問1
これまでの人生で最大の買い物(投資)は何ですか?

悩みますね。家かな、とも思ったんだけど、やっぱり結婚指輪ですね。いろんな意味で自分にとって大きな買い物でした。

質問2
こだわりがある、という生き方をしていると思う人を挙げてください

その道のプロの方は、特に一つのことをやっている方はみんな、こだわっていらっしゃると思いますが……。最近ではドラマ「点と線」で共演させてもらったビートたけしさんですね。僕は共演できることがうれしくてあれこれ質問したのですが、実に簡単にいろんなことを答えてくれましてね。あれだけバラエティーで人を笑わせた歴史を持ち、映画が世界中で評価されたビッグな人なのに、自分はあくまで「芸人」でいることにこだわっている。魅力的な方ですね。あと、個人的な知り合いですが、小島典夫という人。

質問3
人生に影響を与えた本は?

学生の時はボリス・ヴィアンに影響を受けました。当時、僕は何ももっていなくて、自分の中のエネルギーが欝屈(うっくつ)していましたが、そこに刺激があって。また私立の学校で育っていたので、その本を読むことで「陰」のエネルギーが存在していいとわかったことが突破口になった。最近はジョー小泉さんの「つねに強気で生きる方法」という本。これはボクサーへの提言なのですが、普通の人にもすごくためになることが書いてある。落ち込んだ時に読むといいですね。

つねに強気で生きる方法―ボクシング的「自己暗示法」 ジョー小泉著 リングジャパン刊 1,050円

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