朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ホーム設定

Special Contents ひと

  • インタビュー
  • フロントランナー
  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

記事を印刷
  • バックナンバー

ひとインタビュー人間至るところ青山あり。好奇心のまま突き進むのが巨泉流 第七十一回 大橋巨泉さん

  • 縦書きスタイルで読む
  • ページ1
  • ページ2

名画の良さを伝えたくて執筆

――著書「大橋巨泉の超シロウト的美術鑑賞ノート」を読ませていただくと、かなりご自身で勉強されていることがわかります

昔から、何か一つのことに傾倒すると徹底的に研究しないと気がすまないところがある。凝り性なんです。だから、この9年間に西洋美術の本を100冊以上読みまくりました。調べて気になる事実が出てくると、それをまた調べたりね。知識や自分なりの考察を得ると再び実際に観たくなって観に行くでしょ。そこで「なるほど、そうかあ」と新たな発見があってね。その繰り返しが今、楽しくてしょうがない。金がかかってしょうがないんだけれどね(笑い)。

――この本は、巨泉さんならではの絵の見方がわかって面白いですね

あくまで僕の感性と乏しき知識をもって見た、絵に対する鑑賞ノートでしかないんだけれど、絵はそれでいいと思うんだよ。へーちゃん(石坂浩二さん)と一緒に行くこともあるけれど、彼は自身が画家ということもあって、絵を見る視点が僕とはぜんぜん違う。でも、それでいい。芸術はつくる側と観る側の心の響き合いで成り立つものだから。

――西洋美術と出会ったことで新たな人生を切り開かれた感じですね

ゲームみたいなものを与えてもらった感じ。そういう意味では本当にラッキーな出会いだった。最初に「本物をじっくり見ろ」と言ってくれたへーちゃんに感謝だね。「この本を読んでから行け」なんて言われていたら、また違っていたと思う。さすがにこの年になると、どんなゴルフ狂でも毎日はできない。とはいっても、今でも週3回やっているので多いと言われますが(笑い)。いずれにしても、もっともっといろんな絵に呼ばれたい。数百年前の天才と、幸せや哀(かな)しみを共有する喜びを与えてくれる西洋美術は、僕にとって生涯の友だね。

他人からの勲章はいらない

――それにしても、常にご自身の価値観で自由に行動されている。うらやましいと感じる人も多いと思います

無宗教者でサルトルやカミュを読みあさっていた世代だから、実存主義的なんですよ。一度きりの人生だから、自分の好きなことをやって自分の人生を全うしよう、それが僕の考え方。他人の評価もうれしくないし、人からの勲章も欲しくない。セミリタイアのときも「今後、どういう生活をしていくか?」と考え、あのときの僕のプライオリティーはゴルフだったので、季節ごとに気候のいいところに住まいを変える「ひまわり生活」にしただけで。

――一年中好きなときに、自由にゴルフがしたいと思っていた

現役時代、ハワイで一緒にゴルフをしていたアメリカ人の友人に「(年をとって)ドライバーが150ヤードしか飛ばなくなってから毎日ゴルフしたって何が面白いんだい?」と言われて、それもそうだなと。金も地位もすべて後進に譲り、悠々自適に好きなゴルフを楽しもうよ、という彼らの発想が好きでね。だから、40代のとき、「50歳でセミリタイアしよう」と本当は決めていたんです。

――それが56歳になったのは

49歳のときに「世界まるごとHOWマッチ」が始まって、ビートたけしと出会ってしまったから。こんなに才能があるヤツと一緒に仕事ができるならもう少しやってみよう、と。それで結局56歳まで続けた。でも今にして思えば、もう10年ばかり後のリタイアでもよかった。人生の計算違いでした。

74歳の今でも230ヤード

――そう思うのはなぜですか

74歳の今でも230ヤード飛ばせちゃうから(笑い)。胃がんを患ったものの、すこぶる元気だしね。毎日、ストレッチと背筋250回、腹筋100回を続け、健康に気を使って生活していることもあると思うけれど。何より、ゴルフクラブやボールの性能がよくなったから飛ばせるんだよ。これは本当に想定外だった。とはいえ、セミリタイアに対する後悔はないですよ。この18年間ほど楽しかった時間は、今までなかったから。

――では、今後はどんな人生を

僕は騎馬民族系の気質なのか、いろんなところに行きたがる。でも、どこででもうまくやっていけるし、楽しめる。まさに人間至るところ青山(せいざん)あり。だから、今までどおり、自由気ままに自分の好きなことを好きな場所でやっていくと思います。でもまあ、今のプライオリティーはやはり西洋美術かな。緑内障で左目が悪くかなり疲れるので、あんなに好きだった映画鑑賞はあきらめた。その分、本物の絵が観たいし、絵に関する書物を数多く読んで勉強し研究を重ねたい。それほどまでに、今は西洋美術一辺倒なんですよね、やっぱり。

(写真)大橋巨泉さん3つの質問
質問1
これまでの人生で最大の買い物(投資)は何ですか?

OKギフトショップ。「11PM」という番組でカナダを紹介したら、日本語や日本円が通じる土産物店がないとクレームを受けました。実業家の知人何人かに声をかけたのですが、「年間5000人程度の日本人しか行かない場所では……」と断られてしまった。しかたなく1973年にカナダで自分のショップを始めたものの、最初の2年間は毎日倒産寸前といった状況。75年、背水の陣で最後の1万ドルを持ってカナダへ向かいました。そうしたら、その年の夏、突然カナダブームが起こり、それから90年までは右肩上がり成長。お陰で現在は世界で7店舗となっています。結果的に成功した投資となりました。

質問2
こだわりがある、という生き方をしていると思う人を挙げてください

テレビ制作会社イーストの代表取締役社長、富永正人君。何でもかたちから入る人でね。ゴルフのときでも今日のファッションは黒を基調にすると決めたら、徹底的にこだわってそろえてくる。あそこまでかたちから入る人も珍しいし、面白い。それと、親友の石坂浩二。彼は酒を飲むとき必ずビールで始めてビールで終わる。その間にどんなにワインなど他の酒を飲んでも必ず締めはビール。それぐらいビールが好きみたいです。

質問3
人生に影響を与えた本は?

本というか、作家・山口瞳さんの影響は大きいですね。彼の本は全部読んでいます、あの人に会うまで僕はどちらかというと「強者の論理」「勝者の論理」だった。それがあるとき、「大橋さん、勝者は勝者だけでは生まれないですよね。負けた人がいるから勝った人がいる。弱い人がいるから強い人がいるんですよね」って言われてね。頭をハンマーでたたかれた思いでした。今、こうして僕が生きていられるのも、あの人のお陰だと思います。

アンケート 今回のインタビューについて皆様の「声」をお聞かせください。

前のページへ
画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。