怒るは感情ですが叱るは違う。叱ることはします、真剣に。実はコーチを引き受けるにあたって、選手名鑑で一人ひとりの顔を見て、「こいつらに万が一のことがあった時、親のようにためらいなく自分のすべてをあげられるだろうか」と自分の心に聞いたんです。「やれる」と思った。それが本当の決断。つまり、それだけの思いと覚悟を持って選手と向かい合い、真剣勝負で接しているってことです。
現役時代のアメリカ留学と、昨年フジテレビの番組「すぽると!」でレッドソックスの担当になった時、現地で選手たちのトレーニングをよく見ていたんです。彼らの練習方法を取り入れ、だいたい毎朝7時から行ってます。選手にとっては邪魔な練習だと思います。でも、実力差はヒットが打てたか打てなかったではなく、練習をしたかしなかったかで出てくる。今日の練習が3年後の自分につながる。そう思っているので日々の練習を大事にしています。選手には「こちらからの指示でやる『やらされ練習』は短めにするから集中しろ。その代わり、自分がやりたい練習はじっくり長くやれ」と言い、続けてもらっています。
正直、僕は何もやってない。監督が大きな心で選手をのびのび育てているから結果が出ているんだと思う。選手が好調なのも土井正博(前ヘッドコーチ)さんや立花義家(前打撃コーチ)さんがしっかり基礎をつくってくれていて、まさにその花が咲くタイミングで、たまたま僕が引き継いだだけで。それに後半戦はどうなっていくかわからないですし。
以前、ジャンボ尾崎さんが「デーブ、無人島にたった一つしか持っていってはいけないとしたら?」と聞くので、即答で「女」と答えたんです。そうしたらジャンボさんが「違う、勝負事だ。勝つか負けるかを男は本能で欲しているし、それがあれば生きていける」と。そう考えると、一番の得意分野である野球で毎日勝負事ができているわけだから幸せだと思う。ただ、僕は自分がプレーヤーとしてやりたい性分。それができないストレスはあります。でも、勝った時の選手の笑顔を見るのは楽しみ。本当にうれしそうな顔してベンチへ戻ってくるから。それだけに、負けて悲しい顔をさせたくないって思いますね。
おふくろですね。父が早くに亡くなり、女手一つで僕と弟を育ててくれたんだけれど、僕と弟で女の子5人は育っているであろうと思うくらい、食べさせてくれました。一宿一飯の恩義の大切さもおふくろに教えられた。中学・高校とかなり不良だったのですが、「正当防衛なら許す。相手に胸ぐらつかませてからケンカしろ」とかね。とにかくすべてに潔く、豪快。そんなおふくろの教えや生き様が、たぶん僕の中にずっと息づいている。そのお陰だと思います。
僕自身、プロに入るより甲子園に行きたかった。それぐらい特別なもの。県大会予選の時、トイレに入っていてもドキドキしていたのを思い出します。あのドキドキ感の真っただ中にいたわけですからね。本当にいい経験をしたと思いますよ。
苦楽をともにした、一生涯の仲間ができること。勝敗やエラー一つで憎しみ合うこともある。でも、同じ痛みを味わったもの同士のきずなほど深いものはないですから。
一切しません。昔、何度か聞きに来た時「お父さんは野球で稼いでいるから、お前たちを食べさせてやれる。教えてほしいなら金を払え」と言って、200円ずつ取っていたら、そのうち質問に来なくなった(笑い)。ただ、運動って、運が動くって書くでしょ。だから、運っていうのは動くんだ、お前が運動している時点で運は動いている。運も実力のうちで、頑張っていれば必ずついてくるよ、なんて話すことはあります。
仕事、かな。でも、ここんところ寝ている時以外はずっと野球のことを考えていて頭から離れることがない。どんどん突き詰めていっているし、夢中で取り組んでいる気がする。そういう意味では趣味に近いかもしれない。それにしても野球って難しい。オフェンスとディフェンス両方が完璧(かんぺき)だったという試合はめったにないしね。僕はまだオフェンスだけ見ていればいいけど、監督になったら大変。体悪くするだろうなあと思いますよ、本当に。

野球ですね、やはり。小学1年生の時に初めてバットを振って以来、ここまでずっと続けてきたわけですから。
僕に再びユニホームを着せてくれたライオンズの渡辺久信監督です。結果論でモノを言わない。そこはもう本当に徹底している。そこまでできる人はなかなかいないです。心底カッコいいと思います。
中学時代に読んだ本ですね。京都・大徳寺大仙院住職である尾関宗園さんの著書「いま頑張らずにいつ頑張る」(現在は、「新・いま頑張らずにいつ頑張る!―尾関宗園の生き方語録―」日新報道)です。当時すごい不良だったんだけど、どこかまじめで、立ち直りたいという気持ちがあったから読んだのだと思います。でも、ここに書かれていたことがすべて今の自分につながっている。原点ともいうべき1冊です。
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