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歌って教えてくれた

――そこからお父様の特訓が始まった。かなり厳しかったそうですが

まずは、練習の仕方をしつこく教えられました。当時の私はあまり練習が好きではなく、曲を通して弾くのを楽しんでいたのですが、父はそんな私に「とにかく練習。1曲弾いてハイ終わりではなく、さぼらず、細かな練習を積み重ねていくことが大事」とか、「本番に何が起きるかわからないのだから、人には想像できないほどの練習の積み重ねが必要なんだ」と何度も言いました。あまりの厳しさに耐えられず、泣いたこともあります。

――具体的にはどんな指導を受けたのですか

技術的なことはもちろん専門の先生から学びましたが、父には音楽が作り上げる世界を教えてもらった気がします。父は、いつも実際に自分で歌いながら教えてくれたんですよ。かなり激しい歌い方でしたが(笑い)。でも、お陰で「ここは、バイオリンでこんなフレーズ感で歌えばいいんだ」と感覚として理解でき、自然に体に吸収できました。あの時の教えはしっかり私の中に染み込んでいます。

父は猪突(ちょとつ)猛進タイプで、思い込んだことに対して徹底的に取り組みます。私にも同じように、いったん惹(ひ)かれたものに対してはすごく執着し、やり過ぎてしまうところがあります。「ねちっこい」性格も父譲りですね、きっと(笑い)。

――お父様の影響は相当大きいですね

そうですね。父の教えてくれる音楽はすべて信頼できたし、それが答えなんだと思わせてくれるものばかりでした。クラシックだけでなく、ジャズやポップスなど、ジャンルを超えて演奏する父の姿にもあこがれていました。父がかつて演奏した曲と同じものを私が弾く時、父のCDを聴くことがあるのですが、フレーズ感などいまだに圧倒されっぱなし。まさに私の目指す音楽がここにあるという感じ。あの世界に到達するにはまだまだ私は未熟過ぎる、もっと練習しなければいけないなと、父のCDを聴くたびに刺激されます。

――笑里さんは楽譜にかなり書き込みをするようですが

本当はあまり書き込んではいけないという先生もいるのですが、私は先生や父に学んだ言葉は一つ残らず忘れたくなかったので、毎回レッスンが終わると全部書き込んでいた。だから楽譜はいつも真っ黒になってしまいました。

――今、練習はどれくらい

最低でも1日に3、4時間は練習します。休みの日などは家にこもってほとんど1日中バイオリンを触っています。それぐらいやっておかないと危険(笑い)。どれだけ練習をしておくかで、本番の精神的余裕が全然違ってくるので、今はもう練習は癖、習慣になっていますね。

演奏中は曲の世界に没入

――2007年7月にアルバムデビュー。その時の思いは

不安も大きかったのですが、一番楽しいバイオリンを仕事にできるほどの幸せはほかにないので、できる限りベストを尽くしていこうと思いました。

――バイオリンのどんなところが好きですか

曲によって雰囲気が全然違うのですが、練習や本番の積み重ねによって、それぞれの曲の世界の中に入っていける瞬間があるんです。「ああ、こういうのが弾きたかったんだ」って。その瞬間がとても好きですね。

――演奏を始めた瞬間、表情がガラッと変わりますね

そうですか。自分ではそんなに意識していないのですが(笑い)。ただ、その瞬間、奏でる音楽の世界だけに没入しているのは確か。しかも曲によってそれぞれ描かれている世界が違うので、1曲ごとに頭を切り替えているところはあります。だから顔つきもおのずと変わるのかもしれないですね。

――その曲、その曲の世界はどうやって把握するのですか

それこそ日々の練習もあると思うのですが、自分がどんな音楽を作り上げたらいいのか迷った時は、いろんな演奏家の生演奏やCDを聴いて勉強します。バイオリニストによって表現はまったく違いますから、いろいろな演奏を聴くだけで本当に勉強になります。

――プロになり、ご自身が成長されたと思う点は

ステージや人前で演奏する際、以前よりは脱力して演奏できるようになったことでしょうか。バイオリンって力が入りすぎるといい音が出ないんです。音が硬くなり、聴いている人にも緊張感が伝わってしまう。だからこそ力の抜け加減が大事なのですが、それが随分できるようになった気はします。

――コンサートではかなりトークもされますね

父は本当におしゃべり好きで、演奏よりトークのほうが長いんじゃないかと思うほど。私はさすがにそこまでおしゃべりが得意ではないし、決して上手でもないのですが。演奏だけでなく、私自身の生の声を聞いてもらったり、曲の解説を入れたりすることで、クラシックをより身近に感じてもらえるんじゃないかと思い、一生懸命トークしています(笑い)。

(写真)宮本笑里さん お知らせ

クラシックと音楽の競演。感動のステージに宮本笑里さんも出演
木下工務店presents「live image8」

テレビや映画などの映像音楽を中心に良質な音楽を網羅し、リスナーの心をなぐさめ、癒やしてくれるアルバムとして人気のシリーズCD「image」。例年、アルバムとリンクした形で実施される全国規模のツアーコンサート「live image」も大好評。今年も2月4日にアルバム「image8」が発売され、4月29日からツアーコンサートが始まります。今回で2度目のソロ参加となる宮本笑里さんは、「前回は、おしゃべりが難しくてカンペを張っていましたが、今回はカンペを見ずに自分の言葉で話せるようにしたいです。また、他のアーティストの方々の素晴らしい演奏に負けないよう私もパワーアップして演奏に臨みたいです」と語る。

  • 出演者/押尾コータロー(東京国際フォーラム・ホールA公演のみ)、加古隆、小松亮太、ゴンチチ、羽毛田丈史、古澤巌、松谷卓、宮本笑里 他
  • 日程/
    2009年4月29日(水・祝)川口リリア・メインホール、5月6日(水・振休)かつしかシンフォニーヒルズ・モーツァルトホール、5月9日(土)・10日(日)東京国際フォーラム・ホールA
    など全国6カ所8公演
  • 問い合わせ先/
    ローソンチケット 0570-08-4003(Lコード:78309)
    http://www.liveimage.jp/

宮本笑里さん出演のCM曲も収録した 最新アルバム
「break」(CD+DVD)発売中

宮本笑里さんがクラシックの枠を超え、ポップミュージックに初挑戦した最新アルバム「break」。本人が単独出演するヤマザキナビスコ「コーンチップ」CM曲「break」を始め、アニメーション「のだめカンタービレ 巴里編」エンディングテーマ「東京 et 巴里」、日本テレビ「ズームイン!!SUPER」お天気テーマアナザーバージョン

「ALIVE」など、これまでとは違う新しい宮本笑里サウンドが楽しめる珠玉の1枚。DVDにはビデオクリップやオフショット映像が入っており、こちらも必見です。

「break」
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