フランスから遠く離れた日本で、なぜこんなに豊穣(ほうじょう)なフランス料理の花が咲いたのか。その理由の一つに、フランスで40年以上ミシュランガイドの三つ星をキープする「メゾン・トロワグロ」の存在がある。
フランス、ローヌ・アルプ地方のロアンヌという小さな町にあるこの店の3代目オーナーシェフ、ミッシェル・トロワグロさん。祖父が始めた小さなホテルレストランを父と伯父が三つ星に育て上げた。父ピエールさんは1966年に東京・銀座にオープンした「マキシム・ド・パリ」の初代フランス人料理長として来日。ミッシェルさんも青年時代から何度も日本に足を運んだ。
フランスから見た日本の料理界は。海の向こう側からの視点を聞いた。
(取材・文/神山典士 写真/小山昭人)
私が9歳の時、父が日本へ旅立ちました。父は半年間、東京・銀座の「マキシム・ド・パリ」のオープニングシェフとして働きました。その後、私は18歳の時に父と初めて日本に来たのですが、滞在中ずっと「これが日本なんだ」と目を真ん丸にしていました。東洋の発見みたいな、非常に異国情緒にあふれた美しい国だと思いました。
私はその時に初めて日本料理と出合いました。父は東京から戻ってきても、ロアンヌで日本料理を出していたわけではないんです。当時のフランス料理には、いきなり日本の食材や技術を取り入れるという雰囲気や土台はまだできていなかった。私が初めて寿司(すし)を食べたのは東京でした。

1958年フランス・ロアンヌ生まれ。修業時代は「タイユバン」「ジラルデ」などの一流店の厨房を経験し、82年に父と伯父がシェフを務める「メゾン・トロワグロ」に戻る。同店は68年からミシュランガイドの三つ星を40年以上にわたって維持している。日本からも「シェ・イノ」の井上旭シェフら、数多くの料理人が調理場で修業を積んでおり、革新的な料理に定評がある。ミッシェルは2003年には「ゴー・ミヨ」誌の年間最優秀シェフ賞を受賞。04年には「レジョン・ド・ヌール勲章」受章。06年オープンの「ハイアット リージェンシー 東京」の「キュイジーヌ[S] ミッシェル・トロワグロ」をプロデュース。ミシュランガイド東京で2年連続二つ星を獲得している。
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