朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ヘルプ

  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

  • 縦書きスタイルで読む
  • ページ1
  • ページ2
  • ページ3

「いつもと違う市村」常に目指す

エネルギッシュだ。きらきらと目を輝かせ、全身から熱いオーラを放つ。劇団四季の看板俳優としてその名を世間に知らしめ、退団後も精力的に活躍し続ける舞台俳優、市村正親さん。6月から始まる主演舞台「炎の人」では、激しい生涯を送った天才画家ゴッホを演じる。役作りのため、実際に油絵を何枚も描いた。減量もした。「この役のため、追い込めるところまで自分を追い込みたい」。市村さんにとってゴッホは役者を天職だと感じさせてくれるような役。まさにはまり役だ。
(取材・文/井上理江 写真/田中史彦)

――今回の戯曲「炎の人」に出演することになったきっかけは

実は20年ほど前、NHKの劇場中継番組で三好十郎作「炎の人」を観(み)たんです。ゴッホを演じていたのは滝沢修さん。まるで大人の中に子どもが一人混じっているような感じで、行動的で破天荒なゴッホを見事なまでに好演されていました。それがすごく印象的でね。何より作品としても素晴らしかった。あんなふうに日本人が書いた名作をいつか公演できたらいいなと思っていました。それで今回、演出家栗山民也さんと組むことになった段階で、「炎の人」のゴッホを演じたいと話したんです。栗山さんは三好作品を演出したことがある方だったので。

――市村さんがやりたかった芝居だったわけですね

最近の芝居はどうしても軽い笑いの路線に走りがち。そんな中、骨太なしっかりしたものをやっていきたいという思いは、僕だけでなく栗山さんにもあった。それと、「炎の人」は日本人が書いた名戯曲にもかかわらず、主人公は外国人であるゴッホ。顔の濃い僕にぴったりだということも手伝って(笑い)、「炎の人」に決まった次第です。

――役作りのために、さながらゴッホのように何枚も絵を描いたそうですが

模写って大事でね。俳優もいい芝居を観てまねていくうちに、それが自分のものになっていく。絵も同じだと思って、道具をそろえて油絵に挑戦したんです。最初は自分が好きなものを描くのがいいだろうと息子の顔を描き、2枚目はゴッホの「ひまわり」を模倣して描きました。

――実際に描いて見えたことは

色使いを始めとして、こんな細かな部分まで気を使って描いていたのかというゴッホの創意工夫を実感でき、がぜん親近感がわいてきました。それと、模写とはいえ、絵を描いているとどうしても自分らしさみたいなものが顔を出す。絶対に同じにはならないし、僕の個性が絵に反映される。その発見もおもしろかったですね。まさに、俳優が模倣から入って役を自分のものにしていくプロセスと同じでした。

(写真)市村正親さんプロフィール

1949年埼玉県生まれ。舞台芸術学院卒業後、俳優西村晃さんの付き人を経て、劇団四季の「ジーザス・クライスト=スーパースター」のオーディションに合格。74年正式に入団。「エレファント・マン」「エクウス」などに主演し、看板俳優として活躍。90年に退団し、「ミス・サイゴン」など数多くの話題作に出演。近年の主な舞台作品に「ライフ・イン・ザ・シアター」「ダンス・オブ・ヴァンパイア」「スウィーニー・トッド」「氷屋来たる」「ヴェニスの商人」「ペテン師と詐欺師」「キーン」など。2002年第10回読売演劇大賞優秀男優賞、芸術選奨文部大臣賞、04年第12回読売演劇大賞優秀男優賞、第30回菊田一夫演劇大賞、07年春の紫綬褒章、08年朝日舞台芸術賞・松元松代賞受賞。その他、映画「ホテルビーナス」「ベロニカは死ぬことにした」「ストリングス〜愛と絆の旅路」、テレビドラマ「砂の器」「バンビーノ」「二十歳の恋人」などにも出演。現在はテレビ番組「THE世界遺産」のナレーションも担当。

次のページへ
バックナンバー

関連ページ

画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Firefox1.5以上、Macintosh Safari 1.3以上、Firefox1.5以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。