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演じることが今素直に愛おしい

いつまでも「キュート」という言葉が似合う。シリアスからコメディーまで幅広い役柄を演じる女優・坂井真紀さん。10月2日公開の映画「スープ・オペラ」では、頼りなさそうに見えながらも、芯の強さと軽やかなたくましさを併せ持つ主人公を好演。結婚後初の主演映画としても話題を呼んでいる。
(取材・文/井上理江 写真/小山昭人)

――映画「スープ・オペラ」は30代独身女性のルイが、突然転がり込んできた男性2人と暮らし始める物語。ご自身の役、ルイの印象は

両親を亡くし、天涯孤独ではあるのですが、長く一緒に暮らしていた叔母のトバちゃんに愛情を持ってちゃんと育てられている女性だと思いました。それと、30代半ばで、ある程度それなりにいろいろ経験してきていると思うのですが、何か裸でポッと立っているイメージがありました。純粋とも大胆とも違う、「心の丸裸さ」みたいなものを感じましたね。

――「こんなに孤独と向き合った撮影は初めてだった」と語っていますが

撮影中、こんなに温かいのに何で寂しいんだろうってすごく感じて、孤独の魂(たま)がどんどん大きくなっていったんです。自分でも不思議な体験でした。それはきっとルイは心が丸裸で、五感を揺るがして生きているからなんだろうなと。心に何もまとわずさらしているから、太陽の光や風はもちろん、スープのおいしさや、人のぬくもりといった様々なものをより深いところで感じてしまう。

――ルイは一見穏やかで、物事に動じずに生きているようにも見えますが

自分の身に起こる出来事にいちいち右往左往せず、根底に流れる情熱があるからこそ、孤独の魂も大きくて、寂しさも心の奥深いところに突き刺さっている気がしました。そんなルイがはたしてどういう気持ちで見知らぬ男性2人を受け入れ、飛び込んでいくのか。私自身とても興味がありました。

――藤竜也さん、西島隆弘さんが転がり込んでくる男性2人です

それぞれのキャラクター、人間関係については本読みの段階からきちんと詰めていきました。藤竜也さんは毎回、ニュートラルな状態で現場に入ってこられ、しかもいろいろアドリブを考えてきてくれました。西島隆弘君は、あんなに若くてかわいいのに意外に骨太で支えてくれる人。

――3人と趣(おもむ)きある一軒家の風情が不思議にマッチしていました

それは私もおもしろいなと思いました。家のセットもそうですが、監督もスタッフも、ものを作るということに対して、とても優しい気持ちでこだわっていて、細部まで心を尽くしてくれました。そんな現場にいることで、「ささやかなこと」を愛(いとお)しく思えましたし、改めて大切なことだと感じました。みなさんにも、何か優しい温度を感じながら楽しんでいただける映画だと思います。

(写真)坂井真紀さんプロフィール

1970年東京都生まれ。92年にテレビドラマ「90日間トテナム・パブ」でデビュー。96年「ユーリ」主演で映画に進出。以後、数多くのドラマ、映画、舞台に出演。近年は「ビルと動物園」「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」「ノン子36歳(家事手伝い)」など、難しい役どころの映画に挑戦する一方、劇団☆新感線「髑髏城(どくろじょう)の七人」やナイロン100℃「シャープさん フラットさん」、シスカンパニー「夜の来訪者」など舞台でもエネルギッシュに活躍。今年は出演映画「人間失格」「ACACIA」が公開。10月4日からは劇団☆新感線30周年記念興行の舞台「鋼鉄番長」に出演。

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