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自分の人生に歩み出す妻に共感

エキゾチックな美貌(びぼう)で、多彩な役に挑戦し続ける女優・余貴美子さん。華僑の大家族の中で育ち、子供の頃から異文化を意識。女優としてその外見からはうかがい知れぬ、コンプレックスがあったという若い頃からの葛藤(かっとう)。50歳で結婚し、今なおさまざまな役に挑戦し、多忙に活動するその心境を語ってくれた。
(取材・文/田中亜紀子 写真/小山昭人)

――映画「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」では、鉄道運転士の夫を支えてきた妻役を演じました

夫の定年を機に妻は看護師の仕事を再開すると言い出し、その考えを理解しない夫に対して妻が家を飛び出すというところから始まる物語です。この妻・佐和子という女性はほぼ私と同年代。夫の定年で生活が変わる時に、これから死に向かうまでの自分の人生をリセットし直すさなかなわけです。私自身、最近は、雑誌などで表紙に年金やお墓の選び方などが書いてあるものについ目をひかれますが(笑)、自分の人生の結末に向かって帳尻を合わせたい、これでよかったと思う何かを見つけたいと思う気持ちはよくわかります。彼女は母親の介護経験などからがん患者の末期の在宅ケアを行う仕事を希望しますが、自分の「有用感」を感じて生きたいのだと思いました。

――でも夫は「そうしたら誰が家のことをやるんだ」と反対します

私は正直「え〜、そんなこと言うの」と思いましたが、富山の方は「いるいる、こういう夫。ぼやっとしていて妻の考えに気がつかないんだよ」と(笑)。この夫婦は富山の、北アルプスが壁のように立ちはだかる大自然のもとで静かに暮らしている。私はたまたま東京に住んでいますが、環境によって働き方の選択肢や夫婦の在り方というのは全然違ってくるんでしょうね。嫁にするなら越中の女と言いますが、私はこの役をやる時に絶対に富山弁をしゃべりたかったんです。「〜がや」とか「〜ちゃ」など、しっかり者できちんと意志を伝えているように聞こえますよね。それに富山は本当に食べものがおいしくて。撮影中、居酒屋で夕食をいただくことが多かったのですが、ホタルイカやシロエビ、ノドグロなどをつまみに、日本酒を堪能しました。

(写真)余貴美子さんプロフィール

1956年横浜市生まれ。劇団「自由劇場」「東京壱組」を経て、映画やテレビに活動の場を広げる。2008年毎日映画コンクール田中絹代賞を受賞。また08年の「おくりびと」、09年の「ディア・ドクター」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を2年連続で受賞するなど受賞歴多数。その他の映画出演作に「ヌードの夜」「ホテル・ハイビスカス」「丘を越えて」「食堂かたつむり」「孤高のメス」「八日目の蝉」など。これから公開される作品に「しあわせのパン」(11月28日〜公開中)「逆転裁判」(2月11日公開)「愛と誠201X」「あなたへ」などがある。

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