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被災地の浦安で家族の絆を描いた

トレンディードラマ全盛期から活躍し、現在は母親役も増えた鶴田真由さん。今、心を寄せているのは、旅行先で出会う先住民の知恵や古代の歴史だという。彼女の若さのひけつは、そんな心の豊かさにあるのかも知れない。
(取材・文/田中亜紀子 写真/小山昭人)

――このたび出演の映画「カルテット!」。鶴田さんは2人の子供の母親役で、チェロを弾く役でした。この作品に出演した理由は

この映画は、気持ちが離れていた音楽一家が、家族でクラシックのカルテットを結成し、もう一度絆(きずな)を取り戻していく物語です。大きなドラマや難しい事件が起こるのではなく、家族の絆が描かれている。だからこそいいなと思いました。家族というのは社会の最小単位です。そこが幸せであれば、おのずと世界は幸せになる。東日本大震災があった直後の撮影だったからこそ、余計に考えさせられました。ただ、チェロの練習はとても大変でしたが(笑)。

――そのチェロの練習は実際にはいかがでしたか

映画で流れる音はプロの演奏家による吹き替えですが、自分でも普通に弾けるまでは練習しましたよ。チェロを弾く時は左手が顔の横に来るので、撮影の時にごまかしがきかないんです。限られた日数の中で、手の動きを見られてもおかしくない状態にまでできるのかドキドキしましたね。今回チェロを弾いてみて、弦楽器は感情をとても乗せやすく響きが自分の体に合っているとわかりました。

――この映画は浦安市の市制30周年を記念した作品ですが、ロケ地となった浦安は東日本大震災で液状化の被害が多く出た被災地でした

震災直後から撮影が始まりましたが、そんな被害が出ている場所で映画の撮影をしていいのだろうかと悩みました。住民の方の感情もあるでしょうし、正直自分のテンションにしても、日本がこんなに大変な時期に映画に何ができるのかと迷い、演技に集中するのが大変でした。余震の続く中での撮影だったので、最初は落ち着かなかったですね。

――実際、地元の方の反応は

とても好意的に協力してくださいました。被害にあって大変な時だからこそ気がまぎれるとおっしゃってくださる方。傾いた家の中でやきもきしているより、ポジティブに動くエネルギーがある「もの作りの現場」にいられて楽しかったと言ってくださる方。そしてツイッターでメッセージを寄せてくださる市民の方も多く、無理してでも撮影をやって良かったと素直に思えました。映画の力でできることってこういうことなのかと、いろいろな意味で思い出深い作品になりましたね。

――どんな風に観(み)てもらいたいですか

夫役の細川茂樹さんがおっしゃっていましたが、家族は長く一緒にいられるようで、実はそれほど長くいられないんですね。祖父母が年老いて先に逝ってしまうでしょうし、子供も早ければ10代で家を巣立っていく。せっかく縁があって出会った一つのグループなのだから、共にステキな思い出を大切に紡いでいった方が楽しいのではないかと思うんです。そんなことを意識して見てもらえたらうれしいですね。また、まだまだ被災地は復興には遠く、大変な道のりが続いていますが、少しでも皆さんの力になれる作品になっていたらいいなと思います。

(写真)鶴田真由さんプロフィール

鎌倉市生まれ。成城大学文芸学部卒。88年「あぶない少年II」で女優デビュー。以後、多くのドラマや映画に出演。ドラマは「悪女」「妹よ」「総理と呼ばないで」「徳川慶喜」「サトラレ」などを始め、近年は「篤姫」「マルモのおきて」など多数。映画は、96年「きけ、わだつみの声 Last Friends」で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年は「半落ち」「沈まぬ太陽」などに出演。旅番組、ドキュメンタリー番組への出演も多い。以前、番組取材でアフリカを訪れたことを機に、2008年に第4回アフリカ開発会議親善大使の委嘱を受ける。趣味はヨガ。

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