僕のやりたいことはその都度少しずつ変化はしていたのですが、留学の1年ほど前から「違う展開を求めているな」という足音が聴こえ始めました。ロンドンでは、それが何なのかをじっくり考えました。お陰で創作における確固たる、自分なりの軸みたいなものが出来た気がします。
それ以前はお客さんが安心出来、納得しやすいよう説明しないといけないと思って芝居を作っていたところがありました。でも、そうじゃない。もっとお客さんの想像力を信じて、お客さんの五感を揺り動かすようなものを創作していこうと。そういう方向性がしっかり見えたという感じでしょうか。
「荒野に立つ」は自動筆記というか、頭の中に浮かんだ物語をメモするつもりで書き始めたら止まらなくなおってしまった作品です。人物相関図以外の設計図は何もなく、そのまま一気に書き上げました。
起承転結の整ったわかりやすい演劇も一つの形として否定はしないし嫌いじゃないんですよ。でも、わかりやすいがゆえに消えてしまう感動もあります。「何だこの不安感は」「宙に浮いたような気分になっている。どうして」みたいな感覚をみんなで共有する、そんな芝居を作ったっていいじゃないかと。また、そうした劇体験こそが演劇のだいご味だと思うんです。「荒野に立つ」はまさにそういう思いで作り上げた作品の一つでした。もちろん、毎回同じ手法に頼るつもりもなく、その都度違う方法で様々な試みに挑戦していくつもりです。
劇場にうずまくエネルギーがたまらなく好きだからでしょうね。少し前、山形県川西町で井上ひさしさん作「十一ぴきのネコ」という舞台を上演してきたのですが、会場内は本当にすさまじかった。豪雪の中、せっかく来たんだから、とことん楽しんでやろうというパワーに満ちあふれていました。観客の集中力がスパークして、得も言えぬエネルギーが生まれ、終演後、扉が開くと同時にふっとそのエネルギーが外へ抜けていくのを感じました。あのエネルギー、あの瞬間にどうしようもなく惹(ひ)かれるからこそ、僕は演劇に向かうんでしょうね。
うーん、酒かな(笑)。飲んでは「なんて愚かなやつだろう」「本当に馬鹿だな」と反省し、「今日はちゃんとやるよ」と言ってみたり、ふと2日前の飲みの席での自分の言動を恥ずかしく思ったり。ただ、飲み屋で話したことがきっかけで、芝居に出てもらったり共演したりということも、とても多いんです。本当に僕はいい出会いに恵まれているのですが、そのきっかけの多くは酒の席だったりするんですよね。しかも、その出会いの積み重ねがあって今の僕がある。だから酒ですね。もちろん出会いは酒の席だけではないのですが。
彼女のすごいところは集中力の高さ。そういう面を垣間見るたびに尊敬します。お互いに頼りにしているというか、僕も相談に乗ってもらったり、書いたものを読んでもらったりします。
以前、僕が執筆に行き詰まり、酔っぱらって机に伏して寝ていたことがあったんです。それで彼女が起こしにきた時、僕はパッと起き上がって「ヤバイ、ヤバイ」と言ったそう。「何がヤバイの?」と彼女が聞くと「参っちゃったよ、また目玉を忘れてきたよ」と言ったらしい。それが面白かったらしくて、メモしておいてくれたんです。それが「荒野に立つ」の「夢の中に目玉を忘れた少女」という発想のバックボーンになったわけです。僕は時々そういう変な夢を見たり、ふつうの人ではなかなか受け入れ難いおかしな部分があったりするのですが、彼女はそういう僕を面白がってくれる。そこがうれしいというか、ありがたい存在です。
(更新日:2012年03月06日)

これは今でも継続していますが「本」です。その時読めなくても、すごく読みたい本はどんなに高くても買っておきます。いつか仕事がなくなった時にこれを読んで過ごそうと計画しています。すでに半年以上過ごせる分くらいはありますね。
ダンサーの近藤良平さん。何でも楽しもう、常に面白がっていこうという姿勢を貫いていて、すごくいいなと思っています。
本ではないのですが、今スッと頭に浮かんだのは映画「ワイルドバンチ」。西部劇なのですが、僕の創作の基本になっています。中学を卒業する頃に観たと記憶しています。
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