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60歳から始まる予感がしています

年を重ねるごとに円熟味を増しながらも、いつまでも無垢(むく)な少年のような心を併せ持っている俳優・水谷豊さん。2000年から始まった主演ドラマ「相棒」シリーズは今なお圧倒的な人気を誇っている。そんな「相棒」チームが、東北を舞台にした映画「HOME 愛しの座敷わらし」を製作した。水谷さんは「相棒」の右京さんとは打って変わり、奮闘努力が空回りしてばかりの父親役を好演している。
(取材・文/井上理江 写真/小山昭人)

――「相棒」のスタッフで、映画「HOME 愛しの座敷わらし」を作ることになったのは

和泉聖治監督は「相棒」シリーズのヒットもあって、アクションやサスペンスの監督だと思われがちですが、ホームドラマの世界もご自身の中に持っている人だと思っていました。それで僕が魅了された荻原浩さん原作の小説「愛しの座敷わらし」で映画を製作したいと監督に打診したところ、すぐに賛同してもらうことができ、実現しました。カメラマンや照明など他のスタッフも「相棒」チームからの参加が多く、お陰で現場は本当にいつも通りという感じでした。

――ずっとホームドラマをやりたかったそうですね

多くの人が生まれ育つ場所が家。それゆえ、人間の「もと」というのは家にあるんだという思いが僕の中にずっとあるんです。それと僕が子どもの頃、和洋を問わず様々なホームドラマがテレビで放送されていて、よく観(み)ていました。そんな原体験もあって、チャンスがあればホームドラマにトライしたいと思っていました。何より俳優としてはここのところ犯人を捕まえてばかりでしたから(笑)、そうではない世界でいろいろ表現したいという気持ちもありました。

――水谷さん演じる高橋晃一は食品メーカーに勤めるサラリーマンで、家族のために奮闘努力するのですが、なぜか空回りしてしまうお父さん。あまりにも自然で、素の水谷さんもあんな感じなのかなと

もう少しちゃんとしていると思いますよ(笑)。でも、晃一の気持ちはすごくよくわかります。全然悪気はなく、自分の転勤のために家族につらい思いをさせたくない、みんなに喜んでほしいと頑張れば頑張るほど空回りしてしまう。そこがとても彼らしく、チャーミングなところですよね。だいたい家というものは、お父さんが事を起こしてお母さんがまとめるという感じなんでしょうね。そんなことも、この撮影を通して改めて実感しました。

(写真)水谷豊さんプロフィール

1952年北海道生まれ。68年ドラマ「バンパイヤ」で初主演。ドラマ「傷だらけの天使」(74年)でブレーク。映画「青春の殺人者」(76年)でキネマ旬報主演男優賞を受賞。ドラマ「熱中時代」(78年)では熱血教師、第2シリーズ「刑事編」ではそそっかしい新米刑事を演じ、一躍国民的俳優となる。その他「刑事貴族」(91年)など数多くのドラマ、映画に出演。歌手としても「カリフォルニア・コネクション」(79年)など数々のヒット曲を持つ。2008年には22年ぶりに音楽活動を再開し、ヒット曲をカバーしたアルバム「TIME CAPSULE」を発表している。00年に始まったドラマ「相棒」シリーズが大ヒット。season10まで放送されている。映画「HOME 愛しの座敷わらし」が4月に公開予定。また、来年夏公開の映画「少年H」の主演が決まっている。

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