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自分にないものを持つ女性に憧れる

指先のネイルがカラフルで可愛い。「夜中にどうしてもネイルがしたくなって、サロンを探してやってもらったばかり」。いたずらっぽく笑うその目には、愛らしさと意志の強さが同居する。不思議なほど人を惹(ひ)きつける何かがある。NHK連続テレビ小説「つばさ」などに主演し、様々な世代から愛されている女優・多部未華子さん。5月31日からの舞台「サロメ」では、純真無垢(むく)なゆえの残酷さをたたえた少女を演じている。
(取材・文/井上理江 写真/小山昭人)

――舞台「サロメ」のオファーを受けたのはどうして

演出が宮本亜門さんと聞き、物語のこともよく知らないまま「やりたい!」と二つ返事でお受けしました。その後、いろいろ調べていくうちにオペラ版などのサロメはとても官能的だと知り、「なぜ、私がサロメなんだろう?」と不思議でした。でも、今回の舞台では「清純で無邪気な性格の新しいサロメ像が求められている」とわかり、ようやく腑(ふ)に落ちるものを感じました。

――平野啓一郎さんの新訳「サロメ」は言葉もポップでわかりやすいですね

この台本をもとに亜門さんが、現代的でありながらもワイルドの世界観を崩さないような演出をしてくださっています。だから「サロメ」を初めて観(み)る人にもわかりやすいのでは。とはいえ、セリフは決して日常的な言葉ではないですし、言い回しも難しいので演じる側としては結構大変です。

――サロメはどんな少女だと受け止めていますか

ひと言で表現するなら、わがままな姫(笑)。亜門さんから「サロメは愛を知らない、愛の伝え方がわからない子。だから思ったことを素直に出せばいい」と言われ、サロメ像が以前よりは多少色濃く浮かび上がってきました。それをどう表現するかはまだ模索中です。彼女の複雑な感情の機微や変化をわかりやすく伝えるのは、かなり難しいことですね。

――亜門さんからはその他にどんなアドバイスが

そんなに神経をピリピリさせていると病気になってしまうから、もっとラフに気楽な感じでやりましょうと励ましてくださいました(笑)。偶然にも何人かのスタッフさんが舞台「農業少女」の時にご一緒した方で、前回もそうだったのですが、すごく励ましてくれるんです。先日も「どうしよう、セリフが全然頭に入っていない」と話したら、「大丈夫、みんな一緒だから。頑張って覚えようとするから覚えられないんだよ。適当に読んでいれば適当に入っていくから」と。そんな風に周りの方が支えてくださるので心強いです。

――舞台「農業少女」の時もプレッシャーは大きかった

あの舞台はとても不思議な時間でした。振り返るとすごく楽しかったのですが、やっている最中は相当緊張していました。共演の吹越満さんや山崎一さんは舞台に慣れていて、セリフを多少間違えても余裕で、何事もなかったかのようにお芝居を進めていたんです。そばで見ていて「私もあんな余裕がほしい、次の舞台の課題は余裕だ!」と思っていたのですが、今回は前回以上に余裕なく過ぎていきそうな気がします。この課題はまだクリアできそうにないですね。

(写真)多部未華子さんプロフィール

1989年東京都生まれ。2002年デビュー後、03年映画「HINOKIO」のメーンキャストにオーディションで抜擢(ばってき)される。この作品と「青空のゆくえ」で第48回ブルーリボン賞新人賞を受賞。09年NHK連続テレビ小説「つばさ」のヒロインを演じ、10年映画「君に届け」、11年ドラマ「デカワンコ」で主演と、主にテレビ、映画で活躍。12年は連続ドラマ「浪花少年探偵団」(主演、7月〜)、「大奥〜誕生〜[有功・家光篇]」(10月〜)が放送予定。10年の舞台「農業少女」で第18回読売演劇大賞・杉村春子賞を受賞。舞台は「サロメ」に続き、8月1日から「ふくすけ」(作・演出/松尾スズキ)に出演予定。

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