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ひとインタビューお客さんの笑い声がたまらない。ドリフは実家のような存在 第百十二回 志村けんさん

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媚びずに自分の信じた笑い追求

週に4、5日、通うめし屋がある。客が志村けんさんだけになると、店主は黙ってビートルズの曲だけを流す有線のチャンネルにしてくれる。心落ち着くひとときだ。「ネタに詰まったときもやはりビートルズ。中学のときに出会い、高校時代に友だちからチケットを譲ってもらって武道館のライブにも行った。精神面、ファッションすべてに影響を受けた。ビートルズはまさに僕の原点だから」

1974年、ザ・ドリフターズ入りして以来、今も変わらずコント一筋。ひたすら理想の笑いを追求し続ける。まさに日本屈指の喜劇人だ。そんな志村さんの素顔に迫った。


(取材・文/井上理江 写真/小山昭人)

――2006年から始まった舞台「志村魂」も今年4回目。大人気です

楽しいですね。もともと「8時だョ!全員集合」時代から舞台が好きなんです。お客さんの前だから、いい緊張感があるし、反応も直接わかるから。僕の笑いは動きに特色があると思うんだけど、ちょっと動いただけで一斉に大爆笑してくれたりするともうたまんないね。気持ちいい。あの瞬間がうれしくてたまらなくて、ずっとやっているようなもんですね。

――バカ殿、爆笑コント、津軽三味線、人情喜劇など内容も多彩。しかも、3時間出ずっぱり

いろんな志村けんを見てもらえる内容になっています。十数回着替えるので舞台裏でも相当走り回っています。体力的には確かにきついけど、瞬発力があるので何とか。それでも舞台が終わったら酒は飲みますよ、毎晩。自分へのご褒美ですから(笑い)。一応、公演中は夜1時までと決めてはいますけどね。

作りこむ笑いにこだわる

――お笑いの道は幼い頃から決めていたのですか

親父(おやじ)が教員で堅物だったせいか、暗く陰気な家でね。ところが、テレビで「雲の上団五郎一座」の舞台中継を観(み)ていたとき、家族みんなが笑った。「うちもこんなに明るくなるんだ」と驚いたのと同時に、笑いの力ってすごいなあと。その頃からこの世界を意識していました。

――17歳でザ・ドリフターズの付き人となり、24歳で正式メンバーに

ドリフは、その場の瞬発的なハプニングやアドリブに頼らず、台本を作って、すべて計算し尽くしたコントを作っていました。その練りこんだ笑いの作り方というのは、まさに今の僕の原点になっています。

――実際、コントは何度も考え抜くそうですね

素の自分はいたって地味で喋(しゃべ)りも得意ではないので、漫才やフリートークで盛り上げることはできないし、何よりそれが目指したい方向でもない。どんなに短いコントでも扮装やセットまでリアルに作り上げ、ネタを練り上げ、念入りに準備して笑いを取るという手法が好きなんですよ。得意分野なんだと思う。

――アドリブもなし

たとえば、舞台であるセリフを間違える。お客さんは自分が観た回だけ間違えたと思う。でも、実は毎回わざと間違えているわけです。アドリブっぽく見せるのもひとつの芸なんです。

――構成にも相当こだわるとか

「志村けんのだいじょうぶだぁ」という番組で、コントをすべて撮り終えた後、ディレクターに順番を決めろと言ったら、後半に面白いコントを集中させる並びにしたことがあったんだけど、それじゃあダメなんだよね。今回一番おもしろかったコントを最後に持ってくるなら、その前はいったん下げるために静かな笑いを持ってくる。そうすると一番おもしろかったコントの印象がちゃんと残るから。そんな具合に全体のバランスまで徹底的に考え抜きます。

――芸人としての礎を築いたのがドリフだったわけですが、今、改めて志村さんにとってドリフとは

実家みたいな存在です。ドリフのメンバーでは一番年下だから、末っ子が好きなことをしているって感じになれる。今、そういうポジションで自分がいられる場所は他にないので、ちょっとラクです。落ち着きますね。

(写真)志村けんさんプロフィール

1950年東京都東村山市生まれ。ザ・ドリフターズの付き人を経て、74年正式メンバーとして加入。16年続いた長寿番組「8時だョ!全員集合」(TBS)で、「東村山音頭」「ひげダンス」「カラスの唄」など大ヒットを飛ばし、一躍国民的人気者になる。86年からは単独でも活動を開始し、「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」(TBS)、「志村けんのだいじょうぶだぁ」「志村けんのバカ殿様」(CX)などで活躍。99年には映画「鉄道員(ぽっぽや)」で高倉健さんと共演。ライフワークである「バカ殿様」は23年目に突入、昨年9月に発売となった「志村けんのバカ殿様 大盤振舞編 DVD箱」(DVD‐BOX3枚組)も大ヒット。現在、「志村屋です。」(CX)、「天才!志村どうぶつ園」(NTV)にレギュラー出演中。志村けん一座公演「志村魂」も今年4回目。
志村けんさん公式ブログ

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