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第五回 リーファース社長 水野葉子さん(みずの・ようこ)さん 〜食の「履歴書」信頼できると太鼓判押す〜

beフロントランナーロゴbeフロントランナー 2004年5月1日付け紙面から
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食の「履歴書」信頼できると太鼓判押す

母牛に話しかける。「あなた、やせてるわねェ。長生きして子牛をたくさん産むのよ」=鹿児島県栗野町で、千葉康由撮影

 霧の中で、黒毛の牛が一斉にこちらを見た。

「好奇心がある証拠。健康かどうかの指標にもなります」

霧島連山の西にあるJA鹿児島県経済連の牧場。ここの生産グループが4月15日、国の新しい制度「生産情報公表牛肉JAS」の認定第1号となった。

肉にはJASマークがつけられ、いつ生まれ、何を食べ、どんな注射を打った牛なのかがわかる。そのしくみがきちんと働いていると、この人が判定した。農林水産省に認可された第三者機関第1号であるリーファースの社長として、である。

制度化される1年以上前に、独自に生産、流通履歴をたどれるしくみ(トレーサビリティーシステム)の認証事業を始めていた。生産者や食品会社などが作成する食の「履歴書」。それが確かだという「お墨付き」を出し、彼らから手数料を受け取る。生産者らはその裏書の競争力で販売増をめざす。

有機農産物・加工品についても、95年から、独立オーガニック検査員として活動し、有機の定義と第三者的な検査の必要性を訴えてきた。国が有機JAS制度を始めたのは00年6月。常に制度の一歩先を行く。

米国人と結婚し82年に渡米、農薬も化学肥料も使わない有機栽培を知った。第三者機関の検査員が栽培方法などを現地で基準に照らし確認していた。「これなら信じられる」と思った。

92年に帰国。「有機」「無農薬」など、基準がないままの日本の表示に驚いた。そんな折、海外の認証機関から検査員が来日し、輸出用の有機米や有機みそを検査していることを知る。3年後、米国でオーガニック検査員の資格を取得。そのころ離婚したが、国内外の認証機関から依頼される検査の仕事が増え、家族を養っていけた。

2年前の夏、藤本敏夫さんに言われた。「葉子ちゃん、有機もすばらしいが、エコファーマーを増やさないと。あなたにやってほしい」。加藤登紀子さんの夫で自然農場を営んでいたが、闘病中だった。亡くなったのはその1カ月後だった。

エコファーマーは減農薬や減化学肥料栽培の実践者のこと。その推進は有機栽培を広げることと矛盾するのでは、と悩んだ。「どうなってる?」。藤本さんは夢枕に2度立ったという。

伊豆の畑で無心に農作業をしていて、ふとひらめいた。まずはトレーサビリティーシステムを整え、農薬や化学肥料を減らそうと頑張る人たちを応援しよう。その中から有機栽培をする人が出てくれば素晴らしいじゃない。スカッと納得できた。

食品の生産、加工の現場1千カ所近くを歩き、真摯(しんし)な取り組みや労苦が消費者に伝わっていないことを残念に思う。だから、消費者向けの「食育」の講座にも力を入れる。「生産者は信用できない」「消費者はわがままだ」と言い合う両者をむすぶ「調停員」でもある。

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