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追跡!フロントランナー

信念と自らの行動力を信じて、各界で疾走する「フロントランナー」たちに迫ります。
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第六回 くろちく社長 黒竹節人(くろたけ・さだと)さん 〜京町家ブランドは、ここから始まった〜

beフロントランナーロゴbeフロントランナー 2005年4月23日付け紙面から
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多彩な京文化ビジネス支える和の小物

――百足(むかで)屋オープンから15年。本業の和雑貨の製造と卸から飲食業、婚礼、町家再生のコンサルタントやディベロッパーまで、事業が多彩になりました

黒竹

中心は、やはり「本業」の和雑貨や工芸品の卸で、収益の約60%を占めます。呉服屋、土産物店、ギャラリーなど全国約1800軒の得意先のそれぞれに合う商品を流しています。あとは飲食業が20%。設計業みたいなものが10%ぐらい。ちなみに、くろちく本体の年商は約18億円です。全体では20億円。徐々に増えています。

――「本業」に軸足を据え続けているのが強みでしょうか

黒竹

うちの事業イメージは、町家再生や町おこしのコンサルタントなども手がけるため、メセナ色が強いと受け止められますが、タオルやハンカチといった身近なものに京都らしさを表現するのが基本。「忘れてはいけない500円」がある。ただし、業績が上がるとリスクを上乗せして、自分自身を絶壁に追い込みます。すると、新しい工夫や挑戦といったものがわいてくる。昨年はディベロッパー業を、今年は大正や昭和初期の着物の柄を生かすブティックを始めました。失敗もありますが、それ以上のリスクを抱えて吸収します。たとえば1億円の借金があって困ったら10億円の借金をできる事業プランを考えるわけです。

――保守的と言われる京都人にしては珍しいような

黒竹

京都人とは思えないと言われます。京都人の古い家系ではやらない新しいことを次々やるからでしょう。僕は宮大工だったおやじが早う死んだから、古い教えを受けなかった。

リスク分散も

――起業のきっかけは

黒竹

われわれデザイナーが考え、作ったものが、悉皆(しっかい)屋、仲問屋、問屋、小売店を経て消費者に届く間に、単価が倍々に上がる。こういう形態の呉服業界はほんまに生き残れるんかと。同じ京文化を具現化するなら、自分で作って自分で売ろうと思ったんですね。当時、この業界では、こういう考え方は、珍しかったようです。

――なぜ町家ビジネスを

黒竹

町家は、文化的水準の高い京の町衆が、職人たちと作り上げた京文化の粋です。四季折々の京の環境を考えたつくりや、商いや祭りといったハレが基本で、普段の生活は後回しという構造の面白さ。こういう物に目が向いて、どうしても残したいと思うのは、血筋のせいかもしれませんね。でも、和雑貨を使う空間を増やす狙いもあります。和雑貨と町家という二つのビジネスは、お互いが必要不可欠なものです。個人企業につきものの破綻(はたん)を防ぐためにリスク分散は必要です。本業の得意先1軒あたりの売り上げが、多くても月に数十万円と小さいのも、その一つです。

――町家ブームはいまも続き、町家の減少率もゆるやかになったといいます

黒竹

百足屋改装当時と比べると、条例などが整備され町家の改修や新築がしやすくなりました。単なるはやりに終わらせず、京都の歴史が感じられる、生きた町づくりをしていくべきです。それには、町家の伝統でもある職住一体が欠かせない。ハードを継承するために経済性を担保するソフトが必要です。それぞれの家にそれぞれのビジネスを作り、家をひとつの人格を持った集客装置にするお手伝いをしたいと思っています。

集客力を演出

――それが、ディベロッパーとしての仕事ですか

黒竹

少し違います。古い建物を再生・保存するための店舗は、自社だけでは維持できない。だからハコをつくって、それをやりたい若手に分けるのが、ディベロッパーとしての新しい仕事です。いったん更地にして、ハーモニカ長屋みたいに店を並べるのではなく、屋敷全体をリファインして、ひとつの集客性装置として迫力、魅力を演出します。初仕事は、清水寺に近い二年坂の「枡(ます)屋」です。元旅館で広いので、漬物屋、漆器や箸(はし)の専門店、金平糖作りの体験工房などが入っています。

――町家ビジネスのネットワークを作られたそうですね

黒竹

一昨年、商工会議所で「京町家はんなり会」という町家でビジネスをする人の集まりを作りました。京都以外の人もどんどん入ってくださいと。よそから来た資本は、地元のルールがわからないために、トラブルを起こすことがある。横のつながりをもつことで、本当にいい町家再生事業を根づかせたい。

――今後、手がけたいのは

黒竹

やりたいことって、あんまり考えずにいてるんです。自分でやりたいなあ思うて計画して取り組んで成功したためしがない。思いみたいなものはあってもいいんですけど、求める人があってのビジネスですから。自分を無にして、どこから何を相談してもろうても受けますよと、鵺(ぬえ)みたいにしています。ただ、祇園祭の鉾(ほこ)町や歌舞音曲、つまり芸・舞妓の文化など京都の魅力的な文化を、生きた形で継承するお世話がしたいとは思っています。京都の町と京文化が心から好きなので。

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