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追跡!フロントランナー

信念と自らの行動力を信じて、各界で疾走する「フロントランナー」たちに迫ります。
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第七回 ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル社長 窪山哲雄(くぼやま・てつお)さん 〜洞爺湖のほとりでリゾートホテル再建〜

beフロントランナーロゴbeフロントランナー 2004年8月7日付け紙面から
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NYの大停電で学んだ人々の心のともしびに

――6月、2周年を迎えました

窪山

社員が本当によくやってくれました。開業時にはふつうディスカウントするのですが、一切しませんでした。1泊1室あたりの売上高(客室単価)の目標を5万6千円に設定してますが、5万5千円まできています。2年目の収入は初年度の2倍、今年はさらに30%伸びる。一人のお客様が年に2.4泊している計算です。

――ずいぶん強気でしたね

窪山

たしかに開業時は有珠山の噴火で客足は遠のき、景気も悪かった。南極で氷を売るような厳しさでした。札幌あたりでは食事付き1泊1万円という価格も珍しくありませんが、新千歳空港から2時間もかかる立地で価格で競ったら、限りなく安くしなくてはならない。待っているのは地獄だと思いました。もちろん超高級をめざしても成功しないかもしれない。でも、同じ地獄なら、未来のある方がいいと考えたのです。

仏三ツ星店招く

――バブルの再来という人もいます

窪山

きらびやかなものをつくって、目で楽しんでもらうというのとは違います。一部のお客様にたくさんお金を使ってもらうのではなく、多くの方々に年1回でもいいから、心底リラックスしたいと思ったときに訪れていただけるようなホテルにしたいと思っています。客室単価の目標は5万6千円と言いましたが、これが5万7千円でもダメなんです。

――だれも招請できなかったミシェル・ブラスの開店など、食へのこだわりが成功の秘訣(ひけつ)ですか

窪山

ブラス氏は本店のある故郷の自然環境とここが似ていると承諾してくれました。夏場は予約がとれないほど盛況ですが、これだってブームが去ったら、分からない。でも、たとえば、ロビーでのハープの生演奏。あれを聴くために何時間いていただいてもいいんです。そうしたお金を使わなくていい場所や空間に、憩いを感じていただきたいんです。

――東京ではこれから2007年にかけて、外資系の高級ホテルが続々開業しますね

窪山

新しくできる外資のホテルと、ハードやブランド力で同じ土俵に立てる国産型ホテルは限られますが、世界レベルのホテルが集積することで日本のホテルに風穴を開けると期待しています。

――供給過剰になるのでは?

窪山

日本人は海外旅行だと日に数十万円使うことがあるのに、国内の平均はわずか4万円ほどです。一方で、欧米ではふつうの人が高級ホテルを利用することはまずありませんが、日本では「いつかはクラウン」じゃないですが、お金をためてでも楽しみのために泊まろうとする。外資の高級ホテルは、高くても、それに見合う付加価値があればお金を払うという選択肢を増やし、新しい需要を喚起するのではないでしょうか。必ずしもパイの奪い合いにはならない。価格を海外の一流ホテルに合わせて設定してきた我々にとっては、高値感がなくなり、マイナスどころか、大いにプラスです。

――ホテル哲学の原点は、やはり米国に?

窪山

学生のときアイビーファッションが全盛でした。それでアイビーリーグのコーネル大を選んだのが、この世界にのめり込むきっかけです。卒業して勤めたニューヨークのウォルドルフ・アストリアでは実に多くのことを学びました。中でも忘れられないのが77年7月の大停電の日。復旧までに15時間かかり、夜更けて物騒になった街からホームレスの人たちが押し寄せてきた。支配人は彼らを排除するどころか、「ロウソクと軽い食事を用意しなさい」と。最も格式を重んじるホテルなのに、いざとなると一瞬で公共の場に変え、みずから人々のともしびになろうとする。それまでの僕は経営的なものに目を奪われがちでしたが、もっと精神的なもの、ホスピタリティー(もてなし)やホテルマンとしての誇りといったものを深く追求するようになりました。

人生の扉開ける

――ホテルニューオータニではフランスの高級レストラン「トゥールダルジャン」を立ち上げ、グルメブームの先駆けになりました。長崎のハウステンボスのときには、ホテルヨーロッパを4年連続で客室単価日本一にしました。

窪山

ホテルに関していろいろなアイデアを考えていると楽しくてたまらない。スタッフ全員でいっしょになって取り組んで達成すると心から喜びを感じます。

――きらびやかな功績があるだけに、拓銀破綻後、再スタートを切るまでの4年3カ月はつらかったのではないですか

窪山

僕の性格というのか、割合、安易にものごとを引き受けるところがあって(笑い)。一蓮托生(いちれんたくしょう)とでも言うんでしょうか、ハウステンボスから行動をともにしている社員もいるし、彼らを置いて自分だけが生き残るという選択肢はありませんでした。人生の扉を次々に開けて、チャレンジするって、大変だけれど、すごく楽しいことですよ。だから、社員に言っているんです。会社に入っても、自ら首輪をつけて、やらされるのを待つのではなく、どんどんチャレンジしてほしい、とね。そうやって、一人ひとりが闘い続ける。理想のホテルは、そんな中から生まれるんじゃないですか。

ハッとしてホッ

――理想のホテルとは?

窪山

あたりまえのことかもしれませんが、「気が休まって、つかのま日常を忘れられた」と言われたときがうれしい。そのためには、つねに新しいことに取り組んでいかないといけません。何もしなければホテルも人間と同じで、毎日少しずつ年をとっていく。日々革新していく努力が必要なんです。お客様がハッとしてホッとするようなホテルにしたいですね。

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