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追跡!フロントランナー

信念と自らの行動力を信じて、各界で疾走する「フロントランナー」たちに迫ります。
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第八回 九九プラス社長 深堀高巨(ふかほり・たかひろ)さん 〜生鮮野菜を99円で売る常識破りの商才〜

beフロントランナーロゴbeフロントランナー 2005年11月26日付け紙面から
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農家や仲卸と協力、スピード出店 九九プラス・深堀高巨社長

――今期の新規出店は前期の230を上回る300店の見込み。10年には現在の約4倍の3千店を掲げています

深堀

うちの業態は、しょせん、薄利多売です。コンビニの定価販売と違い、利幅が高くないぶん、粗利益高をいかに稼ぐかが勝負。店舗数と販売数量の確保が絶対必要です。

――出店地はどう決める?

深堀

基本は半径500メートルに3千世帯の小さい商圏。駅前だと週末の売り上げが減るので、駅前の商業施設からちょっと離れた住宅地への入り口付近を狙う。近くの商店街がすたれ、駅前や郊外のショッピングセンターへ行くのは面倒。そんな空白地帯を埋めている。

情熱込め説得

――物件を見て約10分で出店の適否を判断。間近に競合他社があっても出店しています

深堀

とにかく年間300出すのでスピードが必要。建物があればいいので居抜き出店で、約6割がコンビニの撤退跡です。ケチのついた物件だから、家賃は相場より安く1坪平均1万円、礼金敷金・更新料はなし、保証金は半分という厳しい条件でも、候補は年間約3万件に上る。物件を見て「合格」すれば2カ月で出店するという即断実行です。簡単に撤退しないから、不動産業者からの信頼も厚い。今は同業他社に負ける気がしない。むしろ近くに出して客を奪えと言っている。

――野菜の産地との契約が成功への起爆剤となりました

深堀

スーパー時代、「九九エンオンリーストア」を立ち上げたものの、売っても売っても赤字続き。青果は市況に左右されるため、仕入れ原価が不安定だったからです。99円という売値が決まっている。ならば、相場の影響をなくすしかない。畑を丸ごと買い取るから仕入れ値を抑えてくれと、農家に直談判に行きました。農家の方はにわかには信じられない。目の前に現金を積んで、あとは情熱で説得するしかなかった。

――農家にも利点があった?

深堀

スーパーも八百屋も「規格外品」は買わない。八百屋時代、農家の人が「収入が安定しないから後継者が育たない」と嘆いてましたよ。曲がった大根でも鮮度はいい。それならぬか漬けにすればいいじゃないかと。農家は一定の収入が見込めるし、農閑期の働く場も確保できるという一石二鳥です。

――仲卸の協力も大きい

深堀

農家を紹介してくれ、卸売市場に加工場を作ってくれた。ぬか漬けやカット野菜の加工品も一緒に考えた。ここで野菜・果物のパック詰めもしている。今ではこうした加工場が全国に10カ所。ある卸の社長に言われたよ。「ロマンってさ、夢ってさ、金がかかることだね」って。苦労の末に、ようやくもうかるようになったと。この一言は忘れない。もう感謝、感謝。八百屋時代の人脈がなければ、できなかった。

――契約農家はどのくらい?

深堀

国内は北海道から九州まで、海外も中国、フィリピン、タイなど全部で約350軒。春はイチゴ、冬は白菜の農家というように季節に応じて、野菜と果物を調達しています。

――物流システムは?

深堀

近郊農家から朝一番で仲卸が仕入れ、加工場でパック詰めにして、契約した配送センターに届ける。そこで100店舗分をまとめて直接店に配達してもらう。スーパーは職人を雇い、店の裏で野菜や肉を切ってパックするが、加工場に外注することでコスト減になる。

チラシもなし

――生鮮食品は鮮度が命。品質管理はどうしていますか

深堀

基本は1日売り切りです。でも、市場から届いたものが新鮮とは限らない。常に10店に1人のエリアマネジャーが店をまわって鮮度管理を指導し、プロの教育部隊が店長を集めて研修もする。我々は生鮮あがりの人間ですから、ここにはコストを惜しみません。

――生鮮品は構成比としてはさほど高くありませんね

深堀

全体の売り上げの10%くらい。粗利が35%の雑貨に比べ生鮮は20%程度ですから。でも、主婦層を取り込むには生鮮ははずせない。主婦が来れば、総菜も菓子も調味料も売れる。「偏りのない品をバランスよく売る」という強みを生かすための呼び水でもある。

――大手コンビニも参入し、競争激化が予想されます

深堀

この業態の成功のかぎは、少ない利幅で経営できるローコストオペレーションの徹底です。これは、親会社の電気機器メーカー、キョウデングループから学びました。目標の売り上げ規模を決め、それに基づいて店舗数を決め、そのための粗利益、コストなどを詰めていく。経費の節減も徹底している。交際費もなし。店の社員は1人か2人で、あとはパートとアルバイト。チラシも作らない。スーパーは売り上げの3〜5%を使って作っていますが。私たちは、こうした「もったいない」精神を会社の文化にしている。大手コンビニには定価販売という事業の柱があるだけに、形だけまねても同じようにはできないと思います。

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