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追跡!フロントランナー

信念と自らの行動力を信じて、各界を疾走する「フロントランナー」たちに迫る! BS朝日の人気番組「be on TV」で放送された中から、選りすぐってお届けします。
beフロントランナーロゴbeフロントランナー 2003年9月13日付け紙面から
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その「日本表現」を、東京大開発が呼び戻す

水を張った「梅窓院寺院棟」のテラス。「建築は動かないので、動きのある水が好き」=東京都港区南青山2丁目で、千葉康由撮影

東京・南青山。地下鉄の外苑前駅を出ると、地名の由来、青山家が江戸時代に開いた「梅窓院(ばいそういん)」の参道を囲う竹林が待っている。葉は青々としているが、黄色い幹が参道を狭めるように立ち上がる。再開発されたばかりとは思えない古刹(こさつ)らしい風情に足が止まる。

「福岡の久留米から持ってきた孟宗金明竹(もうそうきんめいちく)です」

寺院と付属の中層住宅、自らの事務所が入る4階建てビルを設計した。50メートルほど続く竹林は、盛業のアトリエへの訪問者を迎える仕掛けでもある。

87年に4人で始めた事務所は所員30人を抱えるまでに拡大。外国人建築家と大手設計会社に仕事をとられ、個人建築家の多くが東京大開発から取り残されるなか、昨年から今年にかけ、この人の話題作が集中する。

昨年10月に「築地松竹ビル」が完成、1月「住まいのデパート・ペンタくん」(多摩ニュータウン)、7月「JR渋谷駅改修」、9月下旬には「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)ファッショングループジャパン本社」(表参道)と続く。

来年も「サントリー東京新社屋」、公団版デザイナーズマンション「東雲(しののめ)集合住宅」と、一人勝ちの勢いだ。

米国帰りの国際派としてポストモダンの旗手ともてはやされたが、近年は、竹にうんちくを傾けるように、新世代ジャパンモダンと呼べる日本表現が特徴。現地産の素材を生かした地方の作品で高い評価を受けてきた。

97年の日本建築学会賞・森舞台(宮城県)は山中の木造能楽堂。00年の村野藤吾賞・馬頭(ばとう)町広重美術館(栃木県)は木の格子で覆った。01年のイタリアの国際石の建築賞・石の美術館(同県)は地元産の石で陰影ある空間をもたらした。

21世紀の東京が、その「日本」を身にまとう。築地松竹ビルは歌舞伎舞台を連想させるアトリウムの木の大階段。梅窓院寺院棟は伽藍(がらん)を表現した黒い金属壁、LVMHは外壁のカラマツ材が目を奪う。

新開発と日本表現の取り合わせは「自然体」という。「世界の潮流です。欧州では、日本文化を、自分たちの文化と養分を吸収しあい相互に発展させる日常的存在と見なす。文化も美意識もボーダーレスです」

最近、英リーズ近郊の美術館設計のコンペ参加者に指名された。「広重美術館の空間を」と学芸員には求められた。

183センチの長身をモノトーンのシャツ、濃紺の上下で包む。バブル崩壊や愛知万博降板などの荒波に屈しないたくましさで、ひと回り大きくなった。

「ぼくらは初めて西欧崇拝がなくなった世代。肩に力を入れずに日本を表現できる。日本表現イコール保守的、と批判する戦後民主主義、団塊の世代には無理だった建築です」

「東京制覇」の自負が、建築界の主役に躍り出る展望を支えている。

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