また何か仕掛け始めたらしい。あの残間里江子が――。
6月21日、都内のホテル。スポーツ用品大手、ミズノが主催した新製品の発表会。その壇上でマイクを握っていた。「大人のためのスポーツウエア」。同社が競技志向からさらなる飛躍を目指す新企画で、中心的なアドバイザーを務めている。
昨年7月7日に設立した新会社、「クリエイティブ・シニア」をベースにした仕事のひとつだ。団塊世代を含む50代以上の人たちの豊かな生活スタイルと新しい消費の形を提示することが目標だという。
新会社の資本金は、かつて両親のために購入した横浜の家を売って工面した。大人が前向きに生きることの手助けをすることが、「プロデューサーとして最後の仕事」。そう言い切る。
山口百恵の自叙伝「蒼い時」をプロデュースして世に出たのは、1980年のこと。ずっと「百恵ちゃんに書かせた女」というレッテルがついて回った。340万部も売れたのだから、当然かもしれない。以来、この大ヒットを「乗りこえたい」と念じ続ける。
86年、男女雇用機会均等法の施行の年には、働く女性105人を集めたトークセッション「地球が私の仕事場です」を企画した。協賛金5千万円は自分で集めなければならない。60社の社長に直筆の手紙を書いた。いざという時は「マンションを売れば何とかなる」。
決して楽ではない「プロデューサー」として四半世紀を生き抜いてきた。その仕事は、「新しい空気や考え方などを、『そこはかとない価値観』に落とし込んで、世の中に提案、定着させていくこと」だと語る。
堅気のサラリーマンには分かりにくい世界だが、イベント、出版、調査、街づくり……などを手がけ、億円単位の年商を確保する。約20人のスタッフを束ねる経営者でもある。
50年生まれ。団塊は49年生まれまでを指すから、「ポスト団塊」だと、一線を画すこともできる。けれど、「早生まれだから、49年生まれの人と学年は一緒。メンタリティーはまさに『団塊』でしょうね」と、自らを位置づける。
その「団塊の世代」が、いよいよ07年から定年にさしかかる。周辺人口を含めて1千万人近くが人生の分岐点に立つ。なのに、この国にはいまだに大人の居場所がない。社会の変化に最も敏感な仕事で知る実感だ。
「団塊の世代は、退職金狙いでもてはやされるだけで、後は朽ち果てていくだけなのか」。焦りにも似た気持ちが、新しい仕掛けに向かわせる。
「それでいいのか 蕎麦(そば)打ち男」。挑発的な題名の本を、昨年9月に出した。老後の楽しみに蕎麦打ちもいいけれど、小さな幸せに引きこもるな、老け込むには早すぎる。同世代に活を入れる。エールを送る。
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