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第二十回 ソールワーク社長 古野雅子(ふるの・まさこ)さん 〜伝統の和柄を婦人服によみがえらせる〜

beフロントランナーロゴbeフロントランナー 2006年11月11日付け紙面から
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伝統の和柄を婦人服によみがえらせる

山本徹さん(奥)と丹後ちりめんの風合いを生かした服地を開発。裏にオーガンジーを張り、リバーシブルのマントを作った=京都府与謝野町で

あでやかな菊、シックな菊――。伝統的な菊の花模様が、黒地のワンピースを彩る。京都で、婦人服ブランド「ソールワーク」を起こした。製造から販売までを手がけ、着物の柄を現代によみがえらせた、和柄ブームの先駆者だ。

ファスナーの開閉や襟の折り方によって、同じ服でもまったく違う雰囲気を醸し出す。

デザイナーとしてデビューしたのは30歳。夫を京都に残したまま単身上京して6年。ひとりで始めた会社はいま、従業員12人を抱え、東京・日本橋と恵比寿の三越に直営店をもつまでに成長した。六本木ヒルズにも9月、新しい店を構えた。「日本文化を発信する店がほしいと請われて、開店を決めました」

京都生まれの京都育ち。父は内装のテキスタイルデザイナーで、母は洋裁が得意だった。子どもの頃から、母が作った個性的な装いで目立っていた。小学校の卒業アルバムには、こう書き残している。「将来はデザイナーか指揮者になりたい」

短大で服飾デザインを学んでいたが、エッセーコンテストで優勝したのを機に、半年で自主退学。広告会社に入り、コピーライターになった。だがデザイナーへの夢が捨てきれず、96年、京都・詩仙堂近くに、町家を改造した「お座敷ブティック」を開いた。

丹後ちりめんなどを採り入れた斬新な仕事が認められ、「京都府あけぼの賞」を00年に受賞した。前年に衣装デザイナーのワダエミさんも受賞している。

シンボルになっている菊の模様は、骨董(こっとう)市で見つけたちりめんの着物や能装束の柄などがモチーフだ。版画のように色ごとに版を替える手捺染(てなっせん)で仕上げる。絞りを全体に施したショールや藤のつるで作った糸で織り上げた服など京都ならではの染織の技を生かしている。「日本のもの作りの魂(ソール)を継承することが、ソールワークの基本です」

ちりめんの産地、京都の丹後で新しい技術や販路を求める職人や府織物・機械金属振興センターとともに創作してきた。

「職人さんの個性を引き出しながら素材を生み出してもらう。その技術を機屋(はたや)さん自身も活用してほしい。その成功例が、新作のマントの生地です」

京都府与謝野町にある「創作工房糸あそび」の山本徹さん(38)にイメージを伝え、4カ月がかりで黒のちりめんに銀と赤の菊を織り込んだ布に仕上げてもらった。この技法をもとに、工房独自の服地も開発された。

六本木店に飾られた螺鈿(らでん)のドレスは、京丹後市で工芸帯を作る民谷共路(たみやきょうじ)さん(37)と信行(のぶゆき)さん(36)兄弟が織り上げた。貝が絹糸に織り込まれ、蝶(ちょう)の羽のような光を放つ。

「新しい素材に触れると、この面白さをどう生かそうかとアイデアが膨らみます」。素材開発の物語を秘めた服に、染織の技の復権もかかっている。

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