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追跡!フロントランナー

信念と自らの行動力を信じて、各界で疾走する「フロントランナー」たちに迫ります。
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第二十二回 伊賀の里モクモク手づくりファーム 木村修(きむら・おさむ)さん、吉田修(よしだ・おさむ)さん 〜伊賀の里から全国の農業を元気にする〜

beフロントランナーロゴbeフロントランナー 2006年12月16日付け紙面から
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農や食と人々を結び直し未来ある産業に

――昨年の年商は

木村

ファームで15億円、名古屋などのレストラン5軒で10億円。通信販売と百貨店での売り上げが10億円。合わせて35億円になった。

吉田

でも、利益は目的じゃない。事業と運動の両立が理想だから。組織が永続するための手段としては必要やけど。

――運動、ですか

吉田

農業を、夢のある未来的産業にすること。

木村

農業とは何か、食べものを作るとはどんなことかを知ってもらって、農や食と人とを結び直しながらね。

豚がきっかけ

――きっかけは豚でしたね

吉田

輸入豚に対抗して、政府が国産豚肉の消費拡大運動をしてたけど、表示がなくて、どれが国産かわからへん。一目でわかる銘柄豚を作ろうと。

木村

経済連では、牛や豚の飼育指導の吉田は作る側、流通担当の僕は売る側。伊賀豚では、消費者の要望を実現したけど、それまでの僕らは、流通の要望通りに常に早く効率よく、薬を使って脂を固めて……食べたいものを作ってなかった。

――出会いもその時

吉田

勉強会に流通のバイヤーを呼んできたのが木村。同期だけど、僕は中途採用で新人研修がなくて、初対面やった。

――なぜ独立を?

吉田

伊賀豚が当たって、加工でもっと付加価値を高めよう、っていう話になって。

木村

誰もいないから「おれがやるわ」と経済連を辞めた。栄養士のかみさんは「借金さえ持ってこんだらええ」。人生は一回やし冒険しよか、と。

吉田

88年5月に創業したけど、3カ月で3千万円の赤字。家族が路頭に迷うのは困るけど、先に辞めた木村を見殺しにできない。だめなら2人で動物病院をしようと9月に辞めたけど、かあちゃんは、一カ月口きいてくれなかった。

――軌道に乗るまでは?

吉田

地元で売れず、物産展を回った。ある日、地元幼稚園の父母からハム作りを教えてと電話があった。ウインナの方が作りやすいと、ウインナ教室を始めたら、話題になって人が来始めた。商品も売れた。

――ファームの完成は95年

吉田

したいことが増えて、いろいろ作れる大きい工房を設計したけど、人が主役の小さい工房をいっぱい建てて、自然の中にちりばめたほうが、うちらしいと、「工房公園」にした。

――その後、通販を始めた

吉田

当時問題になった米産輸入米に対して、「日本こそ米の国」というメッセージを込めた米入りウインナを作った。すると、東京の百貨店が名前を変えろと言う。それなら自分で売ると、県外の店から一斉に引き上げて、会員制通販を始めた。

――食育に熱心ですね

木村

昨年、8億円かけてコテージ村「OKAERiビレッジ」とジャージー牛の牧場をオープン。スタッフ5人が多彩なプログラムを用意している。

吉田

ビジネスなら、その8億円でレストランを増やす方がいい。でもうちの基本は事業と運動のミックスや。従業員も、金に関係ないことをする方が、モチベーションが上がるし、いい従業員も集まる。

木村

小さいころから食べ物について学ぶと、身近なところで生産されるものを誇りに思うようになる。すると、作る人が誇れるようになる。郷土愛が育ち、食料の自給率も上がる。

事業と運動と

――宿泊部門は苦戦した

吉田

単なるホテルになってはあかんから、楽天にもJTBにも出さない。家族に来てほしいから、チャージ料は1泊1棟2万円。でも、今夏は5200人くらい泊まってくれた。

――それにしても仲がいい

吉田

かあちゃんより木村といる方が長いし、ようしゃべるからな。僕らは、給料も条件も一緒。木村はコミュニケーションの取り方がうまくて、敵作らへんから社長。僕は好きなこと言って敵作るから専務(笑)。

木村

吉田が事業組み立てて、僕は外交担当。

――来年は忙しくなるとか

木村

津と大阪にレストランを出店。年間1万2千頭生産できる養豚場も作る。県内の複数の地域おこしプランの担い手としても手を挙げている。養豚場には、県内の学校給食の食べ残し、コンビニなどの廃棄物を回収して、液体状の飼料と肥料をつくるプラントも作り、えさの2〜3割をこれでまかなう。

吉田

3月、主に団塊の世代が農のあるくらしを楽しむための農学舎がオープンする。借り上げた遊休地を年間15万円で貸して、農業指導もする。実はこれ、遊休地の利用方法として注目されている。この手法が確立されたら地域の事業にできる。

――モクモクらしさとして指摘され、最もうれしいのは

吉田

あったかいね、やな。

木村

言われてうれしいのは、「モクモクがあってよかった」かな。安心安全なものは、愛がなければ作れない。愛をこめて作ったものに、愛を感じたら、人は愛で返してくれる。お客さんとは、そういう関係が築けていると思うよ。

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