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第二十四回 日本庭園デザイナー 枡野俊明(ますの・しゅんみょう)さん 〜枯山水を現代の空間に出現させる禅僧〜

beフロントランナーロゴbeフロントランナー 2007年2月10日付け紙面から
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枯山水を現代の空間に出現させる禅僧

「日本庭園の特徴は、不完全さや余白の中に作り手の精神性が入り込むこと」と語る=東京都渋谷区のセルリアンタワー東急ホテル庭園で

東京・渋谷の巨大ターミナルを見下ろすようにそびえるセルリアンタワー東急ホテル。外国人の宿泊客が、ロビー階の外に広がる庭園を眺めている。

長大な石が、押し寄せる波のような曲線を描く。周囲の緑と静けさ。慌ただしい雑踏の街に、不思議な安らぎの景色が浮かび上がる。

「仕事に追われ、時間に追われて見失いがちな、本来の自分を見つめる空間に……」とデザインに込めた意味を語る。

赤坂御用地に近い青山通り沿いのカナダ大使館庭園。市松模様に敷かれた石畳は、繊細さの中に鋭い美をかもし出す。新潟県長岡市の県立近代美術館は建物が半ば地中にある。屋上庭園から近くを流れる信濃川まで、境界を設けずに一体にとらえたデザイン展開だ。

現代の都市空間に、枯山水を生かす。そのデザインの根本は、禅の教えと分かちがたく結びついている。

横浜市鶴見区の住宅街にある曹洞宗建功寺。16世紀から続くこの寺の長男に生まれ、いま18代目住職。もう一つの顔だ。

日曜日、早暁の本堂に読経の声が響き、近隣の住民約30人が参加する坐禅(ざぜん)の会が始まる。時折、警策(きょうさく)が肩を打つ「パシッ」という音が冷気を裂く。

この日の説教は「喝(かつ)」という言葉の意味と迫力について。

「妄想に陥ったとき、目覚めるため自分自身に、カァーツ!と言い聞かせてみましょう」

大みそかの夜は山内をろうそく3千本が照らす「万燈除夜の鐘」の催しが恒例。元日は本堂を開放してサックスや尺八、フルートなどによる奉納コンサートを開いてきた。

「日本の仏教は葬式仏教なんて言われるのは残念です。迷う人が多い今の社会こそ、仏さまの教えが必要です。若い人も寺に関心を持つような活動を積極的にしたい」

古い教えや型を尊重しながらも教条にとらわれず、現代に生かそうとする。その感覚は庭園のデザインに通ずる。

少年時代に家族旅行で訪れた京都で、伝統的な庭園美に魅せられた。大学卒業後、僧侶としての雲水修行を行い、その後庭園デザイナーの仕事も始めた。

海外の日本庭園の仕事も手がける。カナダ、ドイツ、ノルウェー、イギリス、ラトビア――講演依頼も多い。作務衣(さむえ)姿で世界を飛び回り、さながら「和の美」の伝道師だ。欧米の空港で、見知らぬ人から禅について問われることもあり、関心の高まりを肌で感じている。9年前から多摩美術大教授も務める。

「京の名庭は美しい。でも、それをただ現代の都市空間の中にコピー・アンド・ペーストしてもダメなんです」

そうつぶやきながら、新たなデザインの構想を練る。いずれ、自らの手で龍安寺のような石庭を作り上げたい。それにはまだまだ修行が必要、という。

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