この人を知らなくても、その仕事には見覚えがあるはずだ。例えば00年10月に朝日新聞に載った、SMAPのCDの広告。1ページを赤、青、黄の3色で大きく塗り分けた。ただそれだけ。
「これは何だ」。世を驚かせた表現は、計算し尽くされたデザインだった。この仕事は後に、広告関連の大きな賞を四つも射止めた。ほかにNTTドコモのシンプルなデザインの携帯電話、レンタルビデオのTSUTAYAの会員証など、多くの人が目にしているだろう。佐藤は言う。「目にとまった瞬間、商品や企業のイメージに直結するデザインを目指しています」
今年1月、東京・六本木に開館した国立新美術館は、コレクションを持たない。そのため「性格がはっきりしない美術館」との批判を受けることも。だが、それは「絶えず展示が入れ替わり、常に新しい美術館」である、とも言えるはずだ。
シンボルマークのロゴを、美術館の略称の「NACT」ではなく、あえて「新」の一字で表現したのは、それ故だ。
「佐藤さんは、うちのそんな本質を見抜き、クリアな提案をしてくれた」と、同美術館企画室長の南雄介(47)は喜ぶ。
幼いころから絵が好きだった。建築家の父をまねて家の絵を描いたりした。
11歳の時、イギリスのパンクバンド「セックス・ピストルズ」に出会う。その音楽とビジュアルセンスにシビれ、決定的な影響を受ける。逆立てた髪は、パンク精神の現れか。
「昔の彼の格好はすごかった。アロハを着て、会社の廊下をスケートボードで走っていた」。広告会社博報堂時代の上司、堤仁司(51)は振り返る。「でも、仕事や言葉使いはキチンとしてた。だから年配の経営者にも好かれるんでしょう」
カジュアル衣料の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング会長の柳井正(58)は昨年2月、初めて会ったその場で、仕事を頼んでしまった。11月にニューヨークに開店したユニクロ旗艦店の総合デザイン。「話をしたら、僕の理想を形にしてくれる人だと確信して」と柳井。その直感は正しかった。
佐藤は改めて一消費者の目線で、ユニクロの店を見て回った。その上で、同社のスタッフらと議論を重ねた。「今、何が課題だと思うの?」「どんな店にしたいの?」。医者が患者を診るように問い続けた。
品物にこだわりつつ、生産合理性をとことん追求して価格を下げる。そんな「美意識ある超合理性」こそ、ユニクロの本質だと見た。しかし、その本質はぼやけているとも感じた。その本質を研ぎ澄ませば、世界でも通用するはずだと説いた。
無数のブランドがひしめくニューヨークだからこそ、日本らしさにこだわった。あえてカタカナで「ユニクロ」と書いたロゴを掲げ、日本を代表する34人のアーティストがデザインしたTシャツを、壁いっぱいに陳列した。「東京発」のポップカルチャーは話題をさらった。
それは「サムライ」のセンスが、世界に通用することの証しとなった。
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