――ホッピーが再注目されたのはネットの力ですか
「ホッピーでハッピー党」というファンクラブが会社と関係なくできていて、ネット上で情報交換をしていたんです。それに、ホッピーはどこで飲めるか、買えるかという問い合わせが会社にきていた。ホッピー好きな人はネットにも関心がありそうだと思って、99年にオンラインショップを作りました。日記を公開したことからテレビにも出て、若い人が面白がってくれるようになりました。
――社内の反応は?
入社以来、古参社員の圧力がうっとうしかったから、だれからも何も言われないことをしようと思った。50代のおじさんが多い会社ですから、父ですら、パソコンに向かって遊んでると思ってましたね。
――その前に入社早々、新製品で失敗していました
缶チューハイが定着していた時期で、ホッピーもあらかじめ焼酎で割ってあるものがほしいというお客様からの声が多かったんですよ。売れる自信はあったんですが、ホッピーならオンリーワン商品だけど、ホッピーハイにしたら大手と競合する世界に入ってしまった。
――トラックを宣伝媒体にしようと思いついたのは?
都バスがボディー全体に広告を張っているのを見て、やりたいと思った。でもお酒だと規制があるらしいし、渋谷周辺とか、走らせたい路線の広告料が高かった。ちょうど運送会社を変えようと探していた頃で、うちのトラックを使って広告をしたらと提案してくれた会社を選びました。
宣伝効果でホッピーが売れたら荷主も自社ももうかると考える社長さんでした。運送会社に支払うのは輸送代と、荷物をおろした後に走っている時の人件費とガソリン代程度。広告会社と契約したら10倍はかかったでしょう。ちっちゃな会社だから広告費をかけずに効果をあげたい。それにぴったりでした。
――ラジオ番組にもレギュラー出演しています
タレントになりたいのかとも言われますが、出ることが目的ではなく、ホッピーを広めるため。どこまで行っても私はホッピー屋です。
――仕事一筋ですか
こんなに仕事をしてるのは、ここ2年くらいですね。中学と高校で部活をしなかったので、その悔いがあって大学ではスキー部に入った。でもみんながアルバイトして費用を稼いで資格を取っていくのに、親の援助を受けていた私は一生懸命やらなかった。今は難題だらけだけど、今度こそ、逃げずに立ち向かっていきたい。
――健康志向はいつから?
お客様から痛風の原因といわれるプリン体についてお問い合わせがあって、98年に日本食品分析センターで調べてもらったら、検出せずという結果が出ました。「これからはこれだ」と言って、健康志向へシフトしようとしたのは父です。59年前、偶然プリン体がない飲み物を作れた祖父の運の強さ、父の先見の明はすごい。
――販売地域はどこですか
全国ですが、8割は東京、神奈川、埼玉。人が常駐していないと種は植えても実は取れないので、まずこの1都2県を見直して基盤をしっかりさせ、ホッピーがある店が集中しているエリアを作りたい。
――業務用と家庭用では?
業務用6に家庭用4の比率ですが、地方では飲食店で家庭用を使っていただいているところもあるので、実態は7対3か8対2かもしれません。最近は、家庭用が伸びています。
――リキュールで割るなど新しい飲み方を提案しています
カンパリ、カシスなどで割る飲み方は、飲食店との共同開発です。ホッピーを使ったティラミスのようなスイーツを考えてくれたお店もあります。
――美奈さんが作った焼酎割りは特においしいという「伝説」があるそうですが
私は瓶を一気に逆さにしてグラスの底に泡を作り、高いところから滝のように注ぐやり方。瓶を回しながら注ぐトルネード式など、うちの社員はそれぞれ自分の流儀が一番と思っています。味の決め手はホッピー、焼酎、グラスをよく冷やしておくことです。好みの濃さで、自分で作って飲む参加型の楽しさが他のお酒にない特徴です。
――今年新卒7人が入社し、来春は12人を内定しています
これまでは中途採用、派遣社員でやってきましたが、説明会には有名大学の学生がたくさん来てくれます。新しい人材は、組織を若返らせるために必要です。一人前になるには3年かかるので、投資ですよね。
――新製品の予定は?
いつまでも祖父が作ってくれたホッピーのスネをかじってはいられない。技術系の学生も採用したので、商品開発にも力を入れたい。
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