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beロゴ2008年10月11日付紙面から
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ふつうの家庭に豊かな食生活を――。こんな理念を掲げ、有機野菜など安全な食材のネット通販会社を興して8年。宅配制度で若い世代の安心安全志向に応え、各地で頑張る農家を応援する。目指すは食の流通インフラ革命だ。

生活者視点

「安全でおいしい。ファンから指名買いされる」。加瀬嘉男さん(右)の畑を見せてもらう=千葉県香取市

食材ビジネスに興味があったわけでも、食通でもない。周囲に農家もいない。ただ、学生時代からの仲間と起業することと、企業理念だけを決めていた。理念とは、「ネットを使って普通の人々の生活を変えたい。それで世の中が良くなる、社会に必要とされる存在になりたい」だ。

仲間と作った学生ベンチャーは、ネットで旅行の手配をするなどで年商は5千万円あった。3年後に戻る約束で、コンサルティング会社マッキンゼーで経営を学んでいたが、仲間と「食品ビジネス」を始めると決めると、予定を繰り上げ2年で退職した。

食品流通は当時から課題山積だった。安全な食材を消費者は食べたい、生産者は作りたい。だが産地直送はごく一部。農協やスーパーなどが間に入り、経路は不透明で、互いのニーズも顔も見えない。

安全な食材の宅配サービスは「会員制」「定期・大量購入」など「生産者を支える」視点のものが多かった。それらは、使い勝手が悪く需要が伸びない→多く作れない→安くならない→需要が伸びない、という悪循環だった。

導き出した「解」が「生活者視点」。誰でもいつでも、欲しい野菜を1点からネットで注文し、宅配で受け取れる。

34万人利用

契約農家の開拓は手探りだった。東京・築地市場で「有機」の表示がある青果の箱を探し、産地に電話した。そうして出会った1人が、千葉県成田市の「生産者連合デコポン」の井尻弘社長だ。有機、減農薬栽培で野菜や果物を作る約80軒を束ねる。

井尻さんは「安全な食という理念が我々と同じ。若いのに面白いと思った。社長には、農家は義理にあついが壁も厚い、農家を大事にしないとうまくいかないよ、と伝えた。農作業も手伝わせた」。

創業直後は1日の注文が2件、うち1件は身内という惨状だった。地道に相互リンクを探すなど口コミで宣伝。一方、顧客の苦情や質問に応じるカスタマーサポートには社員7人以上を置く。問題があれば対策チームを作って改善し、信頼を得て継続利用を増やしてきた。今や定期購入3万人を含め利用者は34万人。

売り上げの4割は野菜が占め、農家にとっても「少量で面倒な」から「もうけられる」取引先になった。契約農家は千軒を超えている。

社員が70人を超えた今も組織はフラットだ。各職場で社員に交じって討議。経営情報は全社員に開示し、会社が目指す方向性も共有している。

千葉県香取市内の農家を訪ねた。その場で抜いた長ネギをかじり、試験栽培の無農薬ブドウを食べては「うまい。これ売りましょうよ」。すぐパソコンのメールで社員に指示を出した。

プロフィール

高島宏平さん

横浜市生まれ。98年、東大大学院修士課程修了(情報工学)。マッキンゼー日本支社に入り、電子商取引を担当。00年5月に退社、翌月オイシックスを設立。07年、世界経済フォーラムから「ヤング・グローバル・リーダー」に選ばれる。

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