

――そうした「自己責任論」と長い長い闘いを続けています。
戦後最長の景気拡大と言われた間も相談者は増え続け、多様化した。野宿者、若者・ネットカフェ難民……。背景には雇用の劣化、社会保障費の削減があるのに、社会は自己責任で片づけてきた。「あんたに原因がある」と言われ、反論できる人はそうはいない。自己責任論は相手を黙らせ、問題を閉じ込める。その結果、批判は社会や企業に向かない。
――従来の「活動家」とはイメージが全く違います。意識的ですか。
活動家ってどこかマッチョで「どこで爆弾作ってるの」って印象でしょう? それを変えたい。私のイメージは「市民の中の市民」。活動家は、市民がモノを言える場をつくる人だと思う。この春、「活動家一丁あがり!」という養成講座を始め、若者たちとわいわいやってます。モノ言う市民を増やす試みです。
――社会をどう変えたいですか。
ストライクゾーンをもっと広げたい。そうすればボールと判定される人が減り、多くの人が生きやすい社会になる。でも、それは一人じゃできない。だから仲間を集め、「場」をつくり、社会に問いかける。それが私の役割だと思っています。
著書『どんとこい、貧困!』(理論社「よりみちパン!セ」シリーズ)は、自己責任論が渦巻く社会で生きる子どもたちに語りかける内容だ。編集者の清水檀(まゆみ)さんはその文章に「理不尽な社会に対する純度の高い怒りと、人間という存在への敬意」が満ちていると話す。
1章は自己責任論批判、2章は誰もが生きやすい社会への処方箋(せん)。重松清さんとの対談も。「湯浅さんの文章や姿勢こそが、子どもたちにとっての、かけがえのない精神的な『溜(た)め』になるはずです」
政党色がなく、幅広い団体や運動家が周囲に集まる。様々な組織がかかわった年越し派遣村村長としての役回りも、その「バランスのよさ」が引き寄せたものだ。
活動現場で蓄積した知識と経験、現実に即した柔軟な思考……。ともに活動することの多い首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「『結び目』としての役割を担う資質すべてを備えている」と言う。
反貧困運動は平和運動などに比べまだまだ層が薄い、と指摘する河添さんは、「彼個人の能力というより、運動の行く末が、今後の彼の行く末を決めるのではないか」。
(諸麦美紀)
(更新日:2010年02月02日)



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