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beロゴ2010年10月9日付紙面から
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自分の写真展の会場では、写真に目をこらす人の姿に目をこらす=9月26日、東京都新宿区の早稲田大学

「人々の意志が戦争を止める日が必ず来る」「一枚の写真が国家を動かすこともある」

この二つをキャッチフレーズに写真月刊誌「DAYS JAPAN(デイズジャパン)」が発刊したのは、米国がイラク戦争を開始して1年後の2004年3月だった。それから6年半。10年9月には、定期購読者が1万人の大台に乗った。総販売部数は2万に迫る。

出版不況で硬派の雑誌が次々に休刊する中、骨太なジャーナリズムを堅持して部数を伸ばす稀有(けう)な存在だ。その創刊以来の責任編集者で、社長も務める。

9月初めフランスで開かれた国際フォトジャーナリズム祭で、アジアからただ一人の審査員を務めた。会場の同誌のブースには写真家60人が訪れ、自作の掲載を求めた。米誌「LIFE」なども休刊する中、世界の写真家の目がいまや日本に向く。

発刊当初、成功する自信はまったくなかった。自己資本はゼロ。「出版社の友人はみんな大反対で、2カ月目に首をくくるぞと忠告された」。それでも出したのは「自分たちのメディアが必要だ」という強い意志だ。

9・11のテロ後、アフガニスタンから送られる写真は爆撃する側からのものばかりだった。「世界は『正義』という名の暴力にさらされている。戦争を起こした側に都合のいい写真でなく、爆撃の下で何が起きているのか、被害者の側に立つ写真を出したい」と思った。

発行が決まるとボランティアの若者が集まった。福岡からハーレーダビッドソンでやってきた青年は、オートバイを売った金で寝泊まりして手伝った。以来、イベントでは若い女性を中心に約50人が自発的に集う。

雑誌づくりのかたわら08年、映画「パレスチナ1948・NAKBA(ナクバ)」を制作。10年9月は写真展「人間の戦場43年」を早稲田大学で開いた。その夜は都内で、ジャーナリズムとは何かを若者25人に熱く説いた。

高校時代、フランスのヌーベルバーグ映画に胸が騒いだ。大学ではカメラ・ルポルタージュ研究会を作った。「世の中を見る道具として写真を選んだ」。障害者や被爆者、離島が初期のテーマだ。弱者の側に立つ視点は、最初から一貫している。

大学を卒業すると、イスラエルで3年暮らした。農業の共同体キブツで働いたが、その畑が実はユダヤ人に追い出されたパレスチナ人のものだったと知り愕然(がくぜん)とした。失われたパレスチナ人の村を写真で記録した。

その後もレバノンの市街戦や難民キャンプの虐殺現場など、他のジャーナリストが逃げ出す場所に一人で飛び込んだ。周囲に200キロ爆弾が炸裂(さくれつ)する中、シャッターを切った。チェルノブイリ原発事故の被災地には、約40回も入った。

1988年に講談社が出した総合月刊誌「DAYS JAPAN」には創刊から参加した。2年足らずで廃刊した同誌の名を、新雑誌に引き継いだのだ。

同誌は09年、日本写真家協会賞を受賞した。それで満足はしない。「雑誌は世の中を変える力を持たなければならない。読者5万を目指す。実現すれば無視できない存在になる」。11年の春には電子版の「DAYS INTERNATIONAL」を立ち上げ、世界に発信している。

長年のストレスで脳動脈が狭くなったが、91歳の母を看病しながら果敢に闘い続ける。

プロフィール

広河隆一(ひろかわ・りゅういち)

中国・天津生まれ。早稲田大学卒。「パレスチナ 新版」(岩波新書)など、40冊を超す著書・訳書がある。83年にIOJ国際報道写真コンテストの大賞と金賞を、2003年に写真記録「パレスチナ」で日本写真協会賞年度賞と土門拳賞など多数を受賞。NPO「チェルノブイリ子ども基金」「パレスチナの子供の里親運動」「パレスチナ子どものキャンペーン」を設立し、今は顧問。妻は大手出版社の編集者で息子1人。大学講師をしているユダヤ系フランス人の先妻との間に1男1女がある。

「DAYS JAPAN」購読申し込みは電話03・3322・0233。またはhttp://www.DAYSJAPAN.net/の購読欄へ。

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