朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ヘルプ

  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

フロントランナーセレクション - 朝日新聞「be」のトップコンテンツから選りすぐりのひとをウェブで

beロゴ2011年7月9日付紙面から
  • ページ1
  • ページ2
  • ページ3
大小様々な白い住戸の間に緑が茂る森山邸。屋上テラスも用意されている=東京都大田区

東京・西蒲田の住宅地にある森山邸(2005年完成)は代表作の一つだ。約300平方メートルの敷地に計10個の直方体が不規則に置かれている。うち四つは施主の住居、残りは5世帯分の賃貸住宅。独立して庭にぽつんとあるのは施主用の浴室だ。「集合住宅」とはおよそ思えない。

「建物をバラバラにして配置した時に、これまでの集合住宅にはなかったものが現れたように感じた」と言う。路地に対して大きく窓を開き、小さな庭を介して近隣と緩くつながる。人や街、風や光を感じる暮らしが生まれた。

青森県の十和田市現代美術館(08年)の設計でも展示ごとに棟を分けた。高屋昌幸館長は「『さまよう感じ』との感想も聞く。アートに出合う驚き、喜びがある」。人口6万5千人余の都市で昨年度は約17万人を集めた。

師でもある妹島(せじま)和世さんと「SANAA(サナア)」という設計ユニットを組み、世界にも舞台を求める。オランダの劇場、ニューヨークの美術館、スイスの大学施設。フランスが誇る「ルーブル美術館」の分館の設計もコンペで勝ち取った。昨年は「(作品が)独特かつ感情を揺さぶる」などとして、建築界のノーベル賞と称される「プリツカー賞」を受けた。

「開かれた建築」が一貫した創作のキーワードだ。「人と人、建物、環境がいろんな関係を持ちうる、そういう場をつくりたい」。そうしてできた建築は、時に「民主的」と評される。美術館でも美の殿堂としてそびえ立つのではなく、光が差し込んで、子どもも楽しめる――そんな風景が生まれている。

建築評論家の五十嵐太郎・東北大大学院教授は「森山邸や十和田市現代美術館では、20世紀に建築家が共有した形式である直方体を用いながらも、まったく新しい空間を生み出している」と評価する。「海外での評価が高いのは、普遍性を獲得しているから」

創造を生み出すのは、徹底して考え抜く姿勢だ。森山邸の設計にあたっても、住宅としては「異常」とされる659もの試案を作り、2年かけて検討した。

環境、生活、建物の大きさ、配置、庭、窓、社会、人……。「当然」にとらわれず、すべてをゼロから再考し、膨大な図面と立体模型によって粘り強く確かめていく。連日連夜、オフはない。

プロフィール

西沢立衛(にしざわりゅうえ)

1966年東京生まれ、川崎市育ち。兄も建築家の西沢大良さん。

高校で「理系なら建築」という進路指導を受け、横浜国立大へ。大学院修士課程を修了した90年、妹島和世さんの設計事務所に入る。95年に妹島さんとSANAAを、97年には個人事務所も設立。現在、横国大大学院の教授も務める。

99年、個人として初の住宅設計となった「ウィークエンドハウス」で建築家の登竜門とされる吉岡賞をいきなり受ける。妹島さんとの作品では、98年に岐阜県の学校施設の設計で、国内で最も権威ある「日本建築学会賞」、2004年にベネチア・ビエンナーレ国際建築展で金獅子賞(最高賞)。

かつては結構短気だったが、妹島さんによると「昔より穏やかになった。非常に感情豊かで、感覚的でもある。そしてとても自由な人です」。

愛車はイタリア製の1978年式「アルファロメオ」。「運転しやすい車より、運転したくなる車」。目指す建築と一緒だ。

次のページへ
バックナンバー

関連ページ

画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Firefox1.5以上、Macintosh Safari 1.3以上、Firefox1.5以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。