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 ネルケさんの禅生活

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言葉その3事を知る、自分を知る

いわゆる為公とは無私曲なり。

無私曲とは稽古慕道なり。

(知事清規)

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「知事」とは日本の都道府県の首長ですが、もともとは仏教用語です。サンスクリット語の「Karma-dana」が語源で、事を司るという意味です。ちなみに、「大衆」ももとは仏教用語で、集僧という意味です。古来の叢林(仏教の修行道場)には大衆(だいしゅ)の面倒をみるために、4人の知事がいたのです(後に6知事に増えます)。

寺の総監にあたる「監院(かんにん)」、修行僧の世話人である「維那(いの)」、台所で大衆の料理を作る「典座(てんぞ)」と伽藍の修理などの作務を司る「直歳(しっすい)」です。

この四つの役職の心構えとして、道元禅師は「知事清規」というマニュアルを著しています。監院については次のように書いています。

監院の職は為公(いこう)これ務む。いわゆる為公とは無私曲(むしきょく)なり。無私曲とは稽古慕道なり。慕道は以(も)って道に順うなり。

(監院が公のために務めなければなりません。そのため、私事を忘れなければなりません。私事を忘れるということは、「道」の忠実な実践です)

キーポイントは「為公」です。道元禅師はその内実を具体的に表しています。

事大小と無く人と商議してすなわち行事するは、すなわち為公なり。商議すといえども他語を容(い)れずんば、議せざるに如(し)かず。

(事の大小に関わらず、人と相談してから行動すること。相談といっても、人の意見を聞かないのであれば、相談したことにはならない)

監院が持たなければならない「道心」の説明で、道元禅師も気合が入ります。

黄金を糞土(ふんど)に比し、声誉を涕唾(ていだ)に比し、真を瞞(あざむ)かず偽に順はず。

(お金を糞<くそ>とし、名誉をツバとし、真実を偽りとせず偽りを真実としない)

どうしてそこまで言葉を荒くする必要があったのでしょうか。

おそらく、昔の寺院の中で自分を忘れて大衆のために務める監院ばかりではなかったからでしょう。

権勢に倚持して、大衆を軽ばくすることを得ざれ。また意に任せて事を行い、衆をして不安ならしむることを得ざれ。

(権力者の顔色を伺い、大衆を軽く見るようなことをしない。独断で行動し皆を不安にさせてはいけない。)

知事の中でも一番えらいのは「監院」です。監院が一番えらいのですが、自分をえらいと思ってはいけません。一番えらいからこそ、無私曲でなければなりませんし、無私曲でなければ、本当にえらいとは言えません。監院にとって、一番えらいのは「公」ですが、この「公」は決して権力(権勢)という意味ではなく、「大衆」です。監院のまなざしは、常に大衆に向けられていなければなりません。だから皆と相談をし、人の意見を聞かなければ監院とは言えないのです。

世の中の政治家などにも、大いに反省してもらいたい、と言いたいところですが、ひとごとではありません。

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