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 ネルケさんの禅生活

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言葉その8人生に賞味期限なし

一日一夜をふるあひだに、六十四億九万九千九百八十の刹那ありて、五蘊ともに生滅す。

(正法眼蔵・発菩提心)

人の一生にまぁ、80年くらいの賞味期限はあるのではないか、と思っている日本人もいるでしょう。私自身は44歳になったばかりですが、ややもすると今が「人生のハーフタイム」というのんきなことを考えたりしますがとんでもないことです。

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上の引用では、道元禅師は一日24時間における刹那の数を計算しようとしています。刹那というのはインド哲学における時間の最短単位、つまり一瞬です。一瞬の間に五蘊(ごうん)が誕生し、また減滅するというのです。五蘊とは、感覚の対象となる物(色)、感覚そのもの(受)、それを自覚的な体験として再構成した知覚(想)、それをさらに概念化したもの(行)、そうしてやがてなりたつ知覚者の自意識(識)という、私たちの環境、感覚、感情と精神のすべてをなりたたせている5つの要素です。般若心経にも出てくる「色・受・想・行・識(しきじゅそうぎょうしき)」です。この五蘊は一日のうちに、6.400.099.980回も生滅する、と道元禅師は考えました。しかし、この数字をちょっとへんてこりんだと思いませんか。実は、これは計算違いです。禅師が立脚しているのはアビダルマという古代仏教の哲学書ですが、この書を読めば、実生活ではお世辞にも時間を厳守しているといえにくいインド人が古代、いかに細かく時間の単位を分類していたかが伺えます。整理をすると、こういうことになります。

一昼夜(24時間)= 30牟呼栗多 = 900臘縛 = 54.000怛刹那 = 6.480.000刹那

逆算すると 1刹那 = 約0.013sec

人間が感じ取れ、またコントロールできる最短の時間を古代インド人が「刹那」とよんだのではないでしょうか。音楽の世界では、0.01秒の変化がノリを決めるようですし、眼に受けた情報(光)が視神経を経て脳に達っし、知覚が成立するまで0.1秒位かかるとも言われています。ところが、道元禅師の計算では一日の刹那の数は1000倍も多く、しかもディスカウントショップの値札のように、最後にやたら"9"や"8"が並ぶのはなぜでしょうか。おそらく、アビダルマの「此に少二十不満六十五百千刹那有り」という紛らわしい文章のせいだと思います。

((65*100)−20)*1000 = 6.480.000

と私は解釈していますが、禅師はどうやら

(65*100*1000)−20 = 6.499.980

と読んでしまったようです。そして、手元に電卓がなかったのか、「六百四十万」を「六十四億」にしてしまい、「六十四億九万九千九百八十」(6.400.099.980)というとんでもない数字に膨らましてしまったようです。それだと一刹那(いっせつな)が0.000013 secという実生活からあまりにもかけ離れた数字になってしまいます。  計算はどうあれ、いいたいことは一緒です。

「今しかない!」

人生に賞味期限なんかありません。あるのは、今という一瞬の生の命です。命は保存が効かないのです。今の命を「生」で生きるから、生命です。そしてこの生命を《私のもの》と思っているのも、《私の妄想》しかないのです。 次の学道用心集の引用からも、それは明らかになるのではないでしょうか。拙訳ですが…

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