
東京で車を運転していると、タクシーのあまりの強引さ、傲慢(ごうまん)さに腹が立つことがよくあります。後ろに車がつながっているのを承知で、道の真ん中に平気で停車したりする。もう30センチ左によって停めたって人が乗り降りするのには支障はないのにね。そうかと思えば、高速道路の追い越し車線をやはりわれ関せずといった風情でのんびり走っているのもタクシー。走行車線があいているんだから走行車線を走れよ、って言いたくなります……。と、ここまではタクシーを外から見た場合。
中から見るとタクシーは違った顔を見せます。ここのところ僕は地方出張が多く、広島、大阪、名古屋ではタクシー移動ばかり。いや、東京でも疲れているときはタクシーをよく利用するんですが、つくづく東京のタクシーには安全なものが多い、と痛感させられました。ついこの間、大阪で乗ったタクシーはひどいものでした。この車、ちゃんと調整出来てるのかよ、っていいたくなるくらいしゃっくりを繰り返しながら進み、停まる。乗り物に弱い人は5分で降りますよ。その上、マナーも最低。斜め前で車線をかえたいと思っている車にわざと幅寄せをして入れられないようにしたり、高速道路では車線を踏みながら走ったり……。
あれが今まで乗った最低だ、と思っていたら名古屋で乗ったタクシーはもっとひどかった。車やバイクや人の多い街中でいったい何キロで飛ばすと思いますか? 80キロ以上です。まったく正気の沙汰(さた)ではない。信号が赤に変わってから5秒たっても突っ込んでいきます。シートベルトを探しても取り外されちゃってないんだからどうにもなりません。土地柄なのか、ますます増える車に対してこうなってしまうのか。もし、僕が自分の車で名古屋に来ていたら……。
嫌がらせをする側に乗せられている方がいいか、嫌がらせをされる方がいいか、究極の選択かもしれません。でも、僕はとりあえず言いたい。車の後席は前席より危険なんです。衝突のショックで前席を通り越してガラスを突き破っていってしまいます。だからシートベルトが取り外されているタクシー会社があったら即刻連絡すべきです。そしてもし、シートベルトをしようとして、自分はそんなに運転は下手じゃない、と言ってやめさせようとするような運転手がいたら、こんこんとお説教をするべきでしょう。
(2007.08.27)

松任谷 正隆(まつとうや・まさたか)
音楽プロデューサー
1951 年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。
20歳のころよりプロとしてスタジオ活動を開始し、数多くのセッションに参加。その後、アレンジャー、プロデューサーとして多くのアーティストの作品を手掛ける。
1986年に設立した「マイカ音楽研究所」では、自ら校長として後進の育成にも力を注いでいる。長年に亘り「カーグラフィックTV」でナビゲーターを務めるなどモータージャーナリストとしても活躍。日本カーオブザイヤー選考委員。

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