
この10年くらいのあいだに男性下着の傾向がぐっと変わった・・・・・・というのはご存知だろうか。想像するに、ズボンの股上が浅くなっていったことに連動していると思われる。それによってトランクス派の男性がずいぶんボクサー派に移行していった。そしてそれまでちょっと肩身の狭かったブリーフ派もボクサーのほうにずいぶん移行していった・・・らしい。
それでもトランクスをはき続けているのは、ダボパンをけつ履きしてトランクスを見せるという、いわゆるヒップホッパーたちか、青春がトラッドから抜け出せないおやじたちか、蒸れると痒(かゆ)い病気にかかっている人たちか、ファッションにまるで興味がないどうでもいい連中だけである・・・らしい。
一方、ブリーフからボクサーに移行していった人たちの意見を聞くと、単純にかっこいいから、流行だからということで、相変わらずビキニブリーフにこだわり続けている連中は、いまや変態チックに映るそうだ。気をつけられたい。
まあそれはいいとして、さらにここ数年でそのボクサーブリーフにも変化が訪れ始めている。それは「響かないパンツ」だ。女性用ではだいぶ前からあった響かない下着がついに男性用にも現れた、というわけ。簡単に言ってしまえば、薄い素材ですそがきりっ放しのパンツ、である。響かないついでに色まで響かないように、ベージュなんていうカラーまである。個人的にベージュで思い出す男のパンツは、おやじが履いていた「さるまた」であるが、今のベージュは女性用と見間違うばかりのスタイル。履くのに一瞬の抵抗がある。響かせないために前が開かないように出来ているので、トイレに行って焦ることがあるかもしれない。いや、慣れれば大丈夫だ。いまやどのメーカーにもラインアップされているので、注意してみると面白い。
さて、これを機に僕は下着の総入れ替えを決意。インターネットで下着を買い続けている。このインターネットで買えるというところが実はとてもいい。男がデパートの下着売り場でごそごそと買い物している姿は、あまり人には見られたくないもの。そうかといって、奥さん任せにするのを自慢するやつは、おしゃれの風上にも置けない。失格だ。だから、インターネット。服に合わせたコーディネートを考えながら注文ボタンを押していくのはなかなか気分がよろしい。
「これだ!」と思うパンツに出会うと、それをもう2枚ほど注文をする。そして別のものへ。これを繰り返していると「これだ!」に出会う確率が高くなるのだから、やっぱりものは経験なんだと思う。
たかがパンツ。されどパンツ。パンツはファッションを映す鏡、と常々思っている僕は、だからパンツの流行を見逃せないのである。
(2007.10.29)

松任谷 正隆(まつとうや・まさたか)
音楽プロデューサー
1951 年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。
20歳のころよりプロとしてスタジオ活動を開始し、数多くのセッションに参加。その後、アレンジャー、プロデューサーとして多くのアーティストの作品を手掛ける。
1986年に設立した「マイカ音楽研究所」では、自ら校長として後進の育成にも力を注いでいる。長年に亘り「カーグラフィックTV」でナビゲーターを務めるなどモータージャーナリストとしても活躍。日本カーオブザイヤー選考委員。

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