
先日から、皇居の英国大使館前の幅300mくらいの公園が、しばらく工事中で入れなくなってしまいました。私は皇居をゆっくりジョギングする時、ほとんどその公園の中を走り、土の道や木陰や花を楽しむのです。
「いったい何の工事をしているんだろう……」
「そんなに問題はなかったようだけれど……」
「ずいぶん時間がかかってるなあ」
まさか、土の道がアスファルトになるのではないかと心配していたら、案の定、そこはすっかりアスファルトになってしまったのです。私はとても残念でショックでした。
皇居1周5キロのうちその300mだけは、車の騒音から逃れることができて、土の感触を味わえ、自然を感じることができる場所だったからです。そして土の道は、私の足が喜ぶところなのです。
足に優しい土の道……。今、都会では、そんな道がどんどんなくなっている気がしています。もちろん雨が降ったりすると、ぬかるんだり、水たまりができて歩きにくかったりするから、そうするのは仕方ないかも知れません。でも、都会の中にある自然は、1日何十キロも走る私たちにとっては必要なものです。ランナーだけではなく、きっとアスファルトの中で生活しているすべての人にとっても……。
(2008.03.24)

谷川 真理(たにがわ・まり)
福岡市生まれ。91年に東京国際女子マラソン、94年にパリ国際マラソンで優勝。92年に都民文化栄誉賞と朝日スポーツ賞等を受賞。現在はタレントとしても活躍中。趣味は料理。2002年にハイテクスポーツ塾を開校。夢は「1億2千万人総ランナー」。流通経済大学スポーツ健康科学部客員教授。

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