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10月1日に国土交通省外局の観光庁が発足した。観光立国の実現を目指して、2007年の訪日外国人旅行者835万人を、2020年には2000万人まで伸ばすのが目標だという。これが実現した場合、外国人旅行者の消費額は、4.3兆円、直接的な雇用効果は39万人と、大きな経済効果をもたらすという。受け入れ体制は大丈夫なのだろうかと心配していたら、テレビで外国人観光客に、日本に来て困ったことは何ですか、というインタビューをやっていた。一番多かったのがトイレの問題だ。勝手に水が流れて困ったとか、スイッチがたくさんありすぎて操作方法がわからない、といったようなことだった。日本語が読める僕ですら、どこを押したものか悩むことがあるのだから無理もない。
それで思い出したのが、アムステルダム空港のトイレだ。男子用便器の中にハエがとまっているので、生きているのか気になって目を近づけてみた。よく見るとそれは本物そっくりに描かれた絵であった。つまり便器を汚されないように、利用者をもう一歩近づけるための細工だったのだ。もう一件、イタリアはレオナルド・ダ・ヴィンチ博物館のあるヴィンチ村でみつけた簡易トイレ。イタリアなのに何故か扉にビッグベンが描かれていて、一見トイレには見えない。町の景観をそこねない工夫が見事だった。
(2008.10.27)
荒俣 宏 (あらまた・ひろし)
1947年生まれ。慶応大法学部卒。博物学者であり、小説家・翻訳家。「世界大博物図鑑 第2巻 魚類」でサントリー学芸賞。ビブロマニア(書籍蒐集マニア)としても有名。ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」の解説を務めた。

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