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「どらく編集委員」通信

木と紙と叡智のあるくらし どらく編集委員 マリ・クリスティーヌさん

心地よい暮らし方というのはそれこそ、人によってさまざまです。どらくの読者のみなさまは、どんな暮らし方をされていますか?

非常によくばりなわたくしは、何事も、そのときの思いを大切にしてチョイスする、という流儀を貫いています。チョイスが可能ということは、それだけ選択肢が多いということです。たとえば、畳敷きの和室のとなりにモダンなインテリアが映える洋室、今日が中華なら明日は和食にしようと、和洋折衷をキーワードに考えて、楽しんでいます。これが欧米だとそうはいきません。たまに異質なものを使ってアクセントをつけることはあっても、欧米は欧米の規格で生活しています。

一方、日本ではその選択肢にすべてがそろっています。自分のテイストを選ぶことができる。あれもこれもと思った中から選べるというのが、わたくしにとって、心地よい暮らし方だと考えています。

自然もチョイスできることが日本の特徴です。自宅の庭では四季折々の風を感じることができます。1月は梅の花が咲き、やがて野山やまちは桜に彩られる。5月には竹の子が出てきて、炭火で焼いていただく。そうかと思えば、山に登って新緑を楽しみ、秋には紅葉にこころを動かされる。そういうひとつひとつの自然が、まるで儀式のようにやってくる。こうした自然の豊かさに気づいているのが、ビートルズ世代の人たちではないでしょうか。

さまざまな表情を伝えてくれる自然に結びついているのが、日本の文化です。端午の節句には兜(かぶと)、夏は七夕を飾り、花火を打ち上げる。そして月見だんご。そういうことがすべて季節の変化を感じ取ったものであり、ひいては、自分の人生の変わり目も映し出しているのです。

わたくしがかかわった「愛・地球博」のテーマは「自然の叡智(えいち:Nature’s Wisdom)」でした。その叡智を縦糸に、地球大交流を横糸にして幅広い参加と交流を促したのが、この博覧会です。

外国の方は、自然にWisdomがあるとは知らなかったと口々に言いました。欧米社会のキリスト文化では、自然は自然であり、戦い、征服するものなのです。

木と紙の文化をはぐくんできた日本は、自然に逆らうのではなく、観察力と叡智をもって自然とハーモニーを保つことに力を注ぎます。叡智があるからこそ、自然から学べるものがあるのです。

(2006.09.25)

マリ・クリスティーヌ

プロフィール

マリ・クリスティーヌ (Mari Christine)

父の仕事に伴い4歳まで日本、その後ドイツや米国などで暮らす。芸能界での活動とともに、東工大大学院で都市工学を学ぶ。地域社会のあり方や異文化交流を提言する「異文化コミュニケーター」として講演活動などを行う。国連人間居住会議にちなんで生まれた国連ハビタット親善大使も務める。一女一男の母。

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