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「どらく編集委員」通信

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退職金で家を買うべきか 森永卓郎さん

退職金を使って老後のために家を買おうとする人はたくさんいます。果たしてそれは正しいのでしょうか。結論から言えば、私は定年後どこに住みたいか決まっている人は、買った方がよいと思います。理由は2つです。

1つは生活レベルの差です。私は高齢者の生活実態調査をした経験があるのですが、その時に痛感したのは、同じような年金をもらっている高齢者でも、ローンの支払いを終えた自宅を持つ高齢者と賃貸住宅に住んでいる高齢者の生活が随分違うという事実でした。考えてみるとそれは当然のことです。年金が夫婦で月額23万円だったとします。10万円の家賃の家に住んだとしても、生活費は13万円になります。家賃を支払わなくてよい人より43%も少なくなってしまうのです。

しかも、この格差は広がります。少子化や平均寿命の伸長で、今後は年金給付の削減が進んでいきます。厚生労働省は15%程度の給付抑制で済むとみているようですが、04年の年金制度改正の時に見込んだ1.39という将来の合計特殊出生率がすでに1.26まで下方修正されていることを考えると、将来的には現行の給付水準より25%程度削減されるのは避けられそうにありません。そうなると、年金の給付水準は17万円、10万円の家賃を差し引くと7万円しか残りません。生活費は家賃を払わない人より59%も少なくなってしまうのです。

もう一つは、特に老後を都心で暮らしたい人は、いまのうちに買った方が安いということです。都心部の土地は、デフレ脱却をにらんで地価が急上昇しています。すでに都心のマンションは値上がりを始めていますが、せいぜい10%程度なので、場所によっては2倍以上という地価上昇を十分に織り込んでいません。郊外に住んだり、田舎暮らしをしたりしたい人はまだ時間の余裕がありますが、都心で暮らしたいと思っている人は、早めに住宅を買った方が有利でしょう。

(2007.03.26)

森永卓郎

プロフィール

森永 卓郎(もりなが・たくろう)

1957年生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。80年に東大経済学部を卒業、日本専売公社(現日本たばこ産業)、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。

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