
大きな震災が起こるたびに報道されるのが、震災で家を失って途方に暮れるお年寄りの姿です。若いうちなら、もう一度住宅ローンを組んで、新しい家を建て直すことができますが、退職した後だと、それもままなりません。
よく知られているように、震災に遭った場合の建物や家財の被害に対しては、普通の火災保険では一切保険金が下りません。地震に伴う火災で被害にあったときでも駄目なのです。地震に対する被害は、地震保険に加入する以外には補償されません。
今年から税制改正で、損害保険の保険料控除が廃止され、代わりに地震保険の保険料が所得控除されるようになりました。控除額は、支払った保険料の2分の1で、限度額は2万5000円です。
ただ、地震保険には、大きな問題があります。保険料が高額だということです。地域によって異なりますが、保険金額1000万円の場合の年間保険料は、コンクリート造の場合5000円から1万7500円、木造の場合は1万2000円から3万5500円となっています。保険料が最も高いのは、東京都、神奈川県、静岡県の1都2県になっています。実際に大きな地震が起きているのは、保険料の安い地域なので、本当にこの地域別保険料が正しいのか議論がありますが、国が決めているので文句のつけようがありません。
保険金額1500万円の地震保険を、東京都で木造住宅に住んでいる人が掛けようとすると、年間保険料は5万3250円となります。なかなか負担できる金額ではありません。
私はこう思います。どれだけ高くても、万が一のことを考えたら、金融資産の少ない人は、地震保険に入るべきでしょう。一方、数千万円の金融資産を持っている人は、地震保険は必要ありません。自分の金融資産で建て直せばよいからです。
何だか不公平な気もしますが、保険というのは、そういうものなのです。
(2007.07.30)
(注)地震保険は火災保険に付帯する形での契約となり、契約金額は火災保険の30%〜50%の範囲内になります。

森永 卓郎(もりなが・たくろう)
1957年生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。80年に東大経済学部を卒業、日本専売公社(現日本たばこ産業)、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。

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